研究所長会議懇親会 挨拶 (2006年6月20日)

尾池 和夫

尾池総長

 本日は、研究所長会議の懇親会にお招きいただき、ありがとうございます。

 京都大学では、今年4月1日に、新たに地域研究統合情報センターが設置されました。それを加え、京都大学の研究所長会議を構成する附置研究所と研究センターは17部局になりました。京都大学は日本の大学の中で、もっとも多い附置研究所と研究センターを持つ大学であります。また、全国共同利用の多くの施設を運営する大学でもあります。

 その所長さんたちが一堂にお集まりになるこの会は京都大学にとって、たいへん大きな意義を持つ会であり、日本の大学の将来のためにも、大きな役割を担うものであります。また、現在、全国の国立大学附置研究所・センター長会議の会長を京都大学人文科学研究所長の金 文京先生が努めておられ、そのお仕事も皆さんのご協力で、大いに進めていただきたく存じます。

 今日お集まりの先生方の研究所や研究センターの専門分野は、先端科学、自然科学、社会科学、人文科学と多岐にわたっております。また、それぞれの分野で世界をリードする研究業績をあげており、その蓄積をもとに教育や社会貢献に大きな役割を果たしています。皆さま方の研究所と研究センターは、異なる分野間の交流を通じ、新たな知的領域を開拓することによって、京都大学ならではの、自由の学風を継承し発展させてきました。

 私は京都大学の中を、市民の目に見えるようにすることが何より重要と考えておりますが、この研究所長会議を構成する研究所と研究センターの活動に関しても、そのような意図で、さまざまの企画が実行に移されており、たいへんうれしく思っております。

 中でも、今年の3月に東京の品川で開催されました京都大学附置研究所・センターの合同主催による第1回シンポジウムは、とりわけ力の入った企画でありました。春休み中の平日にもかかわらず、1300名を超える申し込みがあり、会場の都合で多くの方々をお断りしなければならない事態となったことが残念であると同時に、大きな注目を得たという喜びもありました。シンポジウムの内容もすばらしいものでしたが、朝から夕方まで、途中で席を立つ人もいない熱心な聴衆のみなさまの姿も、私は忘れることができません。

 大学附置研究所・研究センター主催の市民向けシンポジウムという企画は、おそらく全国的に見て初めての試みであったと思いますが、皆さまの熱意で大成功をおさめました。このシンポジウムは、「京都からの提言」と題して、「21世紀の日本を考える」を総合テーマとしながら、今後10年間、毎年、全国の主要都市で、京都大学の附置研究所、研究センターの活動による研究成果を社会に還元していくために続けて開催するとうかがっています。

 第2回は2007年3月17日に大阪での開催予定だそうですが、品川のときと同様に、私もぜひ全日参加させていただきたいと楽しみにしています。また、京都大学の主催する国際シンポジウムでも、第9回では、霊長類研究所などのご努力で初めてアフリカで開催していただくことになっており、それもたいへんに楽しみにしています。またさらに、湯川朝永生誕百年を記念する多くの行事を基礎物理学研究所などのご努力で続けており、上野の博物館では、実に多くの方々のご参加があったと朗報をいただきました。

 このように世界のさまざまの場で、皆さまのますますのご活躍を拝見することができますように祈りながら、京都大学附置研究所、研究センター所長会議の皆さまへ、私のご挨拶といたします。

 ありがとうございました。