永年勤続表彰にあたって 祝辞 (2005年6月20日)

尾池 和夫

尾池総長

 本日、勤続30年、および勤続20年の表彰を受けられた皆さま、まことにおめでとうございます。ご列席の理事、部局長、教職員とともに、永年のお仕事に感謝しつつ、お祝いを申し上げたいと思います。

 京都大学は教育と研究と医療を行う場であり、地域社会に貢献し、日本の文化の基礎を支える場であり、世界の人類の福祉に貢献する大学であります。京都大学での教育と研究と医療を支える仕事が順調に行われてはじめて、この大学の役割が果たされるのであります。
 実は、京都大学の「教育と研究と医療」と今申し上げましたが、昔は、「研究と教育」と言い、法人化する前あたりからは「教育と研究」というようになり、今年5月23日の博士学位授与式の式辞から、「教育と研究と医療」というように変化したのです。そこに私自身の京都大学の運営方針の変化を見られるのかもしれません。
 組織も人もこのように少しずつ変わっていくものですが、108年目の創立記念日を迎えて、あらためて京都大学の歴史を振り返りながら、皆さん方も、それぞれの歴史も振り返ってみていただくと、さまざまな感慨がまた一段と深くなることと思います。

会場の様子

 1975年(昭和50年)、後期試験の頃になると、教養部代議員大会が開催され、学費値上げ反対などを主張して無期限ストライキ実施が可決されました。教養部の正門にバリケードが築かれ、教養部が一部占拠されました。岡本総長のときです。入試実施にあたり教養部構内のストライキおよび占拠・バリケードを解除するよう警告する旨掲示して、教職員が機動隊の警戒のもとに学生を説得、学生の退出後に教養部正門の封鎖を解除しました。学生たちは入試終了直前、また教養部正門にバリケードを構築しました。

 1985年(昭和60年)、祝日および卒業式と入学式の日に、本部正門に日の丸を掲揚するということになり、2月11日に掲揚されました。十数名の集団が日の丸全面に赤ペンキを塗って逃走し、4月には、以後の掲揚を中止することになりました。
 5月には大学院審議会制規等専門委員会が「大学院の整備・充実の方針」と題する中間報告を大学院審議会に提出し、独立研究科の設置などの提言がありました。
 またこの年は、男女雇用機会均等法が公布された年でもあります。
 沢田 敏男総長から西島 安則総長へ受け継がれた年でした。

 本日は毎年より多くの教職員の方々がご出席と思いますが、たくさんの方々にご出席いただき、ありがとうございました。
 今後とも、皆さま方が、お元気で京都大学のために、いい仕事を続けて下さることを願って、私の祝辞といたします。
 本日は永年勤続表彰、まことにおめでとうございます。
 ありがとうございました。

永年勤続表彰祝賀会 挨拶

歓談の様子

 本日は、とりわけ多くのご参加を得て、永年勤続表彰式が行われ、たくさんの方々が表彰を受けられました。これは長い期間のお仕事への感謝でもありますが、お元気でご活躍していただけたことへのお祝いでもあると思います。
 本当に、おめでとうございます。

 昨年6月21日に行われた、永年勤続表彰にあたって、私は挨拶の中で、次のように申し上げました。

 「また、今日のこの席に、本当はお招きしたい方たちが、京都大学には他にもおられることを忘れてはなりません。制度上は勤続と見なされていないのですが、実質的には20年以上、京都大学で仕事をして下さっている多くの職員がおられます。その方たちにも私は同じ気持ちで、皆さまとともに、長年のその努力に感謝したいと思っております」と申しました。そして、今日は、ようやくその願いがかなって、たくさんの方がご参加くださいました。関係者のご努力とご配慮に心から感謝いたします。

 京都大学の定員の教職員数は、このところずっと5,300人前後ですが、それは本学では1975年(昭和50年)から、つまり本日勤続30年を迎えられた方々が、仕事を始められた年ですが、その年から今までに、約1,000名の事務職員を削減し、結果的に教員に振替えられてきた形となっていて、教員数は現在約3,000名であります。その他にも数千名のTA、RA、COE研究員等が教育研究活動を行っておりますから、教育と研究と医療の仕事は大変増加していて、それらを支援する事務の仕事も複雑化し、増大する一方です。

 定員の削減とともに、京都大学でも期間の定めのない雇用が増えてきました。京都大学が時間給で働く多くの職員の方々や有期雇用などの教職員の方々にも、安心して仕事がしていただけるような職場でなければならないと、私は思っています。

 今後とも皆さんがますます健康に注意され、お元気で、学内外で一層ご活躍くださることを祈って、挨拶といたします。
 永年勤続表彰おめでとうございます。
 ありがとうございました。