アスベスト問題について

アスベスト問題について

アスベストが社会問題化する中、京都大学は学内の専門家によるアスベスト問題専門部会を設置。1980年代後半からの対応を見直し、体育館における撤去工事に踏み切りました。残された課題についても、順次対応していく予定です。

学内施設に対する対応

学内調査に至る経緯

京都大学では、アスベストによる環境汚染について、1989年に独自の「アスベストによる環境汚染対策指針」を作成し、これに基づき、1999年までのおよそ10年間に、天井・壁等に仕上げ材として使用されていた約7,000平方メートルの吹き付けアスベストを除去いたしました。

ところが、2005年になって、アスベスト加工工場とその周辺における健康被害の報告を皮切りに、アスベストをとりまく状況が変化しました。京都大学でもアスベスト使用実態調査を開始するとともに、本問題に関連する対応方針を審議するため、2005年9月21日に環境・安全・衛生小委員会のもとにアスベスト問題専門部会を発足させることとなりました。

対策 ~体育館における除去工事~

学内調査の結果、48棟の建物でアスベストを含む吹き付け建材が確認されました。その中でも最大の課題となったのは、天井に使用されていた吹き付け材にクリソタイル約5.5%の含有が確認された総合体育館です。アスベスト問題専門部会において慎重に検討を行った結果、危険性は小さいが、総合体育館アリーナについては、多数の学生、教職員が使用する建物及び施設であり、何より若年層が激しい運動を行う場であることなどを、総合的に判断して速やかに使用を停止し、除去することとしました。

9月22日に総合体育館の使用を全面的に停止することが正式に決定され、除去工事により天井面に吹き付けられたアスベスト25m3を除去しました。除去後の環境測定においても、体育館内のアスベスト濃度が1リットルあたり0.1本未満と、一般環境で検出されるアスベスト濃度0.1~2.0本と比較して、安全が確認できたため、3月には無事、例年通り体育館で卒業式を行うことができました。

このように、学内外の協力を得て、2005年度は体育館を含む2施設の除去工事を行いました。その他については、飛散防止に注意しつつ、定期的な安全確認を続けています。

2006年度には、全ての吹き付けアスベスト等の除去が予定されています。また、今後はアスベスト含有建材やアスベストを含有した部品を使用している設備機器や実験機器等に含まれるアスベストへの対応が課題と考えられ、検討を進めています。

社会及び学内に向けた情報発信

アスベスト問題・京都シンポジウム ~もう一歩ふみこんで、知り、学び、考える~の開催

シンポジウム風景

社会や学内の動きを受け、京都大学の一つの社会貢献及びコミュニケーションの形として、2006年1月17日(火曜日)に、京都大学百周年時計台記念館1F百周年記念ホールにて、シンポジウム(主催:京都大学環境安全保健機構及び環境・安全・衛生委員会)を開催しました。

奇しくも阪神・淡路大震災からちょうど11年目に当たる開催日となり、尾池和夫総長の開会の挨拶でも、地震を切り口に、京都大学のアスベスト対応の背景やシンポジウム開催の意義が明快に述べられました。学内の4人の研究者による講演は、京都大学の事例を含んだ具体的な内容が織り込まれ、貴重な情報共有の場となりました。

会場には、学内外から多くの参加者(345名;学内219名、一般126名)がつめかけました。また、スペース・コラボレーション・システム(Space Collaboration System;大学・研究機関の間で通信衛星を利用して映像・音声による双方向通信を可能にするネットワークシステム)により全国37カ所への同時送信も行われました。

「アスベスト問題について」のより詳しい情報は

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