経営管理大学院では「サービス価値創造」にまつわる重要な話題をとりあげ、平成20(2008)年よりサービス・イノベーション国際シンポジウムを開催しています。第4回目となる本年度は、百周年時計台記念館にて、「日本の高品質サービス ~和のかたち・和のこころ」をテーマとして、日本ならではの高品質サービスのグローバル展開について、現状と課題、ならびに今後の展開の可能性の討議を行いました。
冒頭、小林潔司 経営管理大学院長の挨拶では、日本のサービスがグローバル展開する姿をとらえていこうというねらいにおいて、まさしく国際を謳うにふさわしいシンポジウムにするという意気込みが述べられました。
基調講演では臨済宗大本山南禅寺管長である中村文峰老大師より、「松柏千年の青(せい)~岩手陸前海岸の松~」を主題に、今回掛軸に揮毫(きごう)いただいた「真実不虚(しんじつふこ)」なども踏まえ、本来厳粛な面を持つ日本のおもてなしに通じるお話しの数々をご紹介いただきました。
パネルディスカッション I は「京のおもてなし」と題し、パネリストに、小川流煎茶の小川後楽氏、香老舗(こうろうほ) 松栄堂(しょうえいどう)株式会社の畑正高氏、西陣くらしの美術館 冨田屋(とんだや)の田中峰子氏の3名を迎え、日置弘一郎教授のコーディネートにより、それぞれの世界観を存分にご披露いただきました。さながら、芳香が立ち込め、路地の奥からわらべ唄が聞こえてくるかのような座談でした。
パネルディスカッション II は「和のサービスの国際化」と題し、パネリストには、グローバル展開する日本企業を代表する5社から、イオンディライトの堤唯見氏、公文教育研究会の石川博史氏、資生堂の大亀雅彦氏、日本航空の二宮秀生氏、ユニクロの佐藤崇史氏を招きました。経営管理大学院からは鴨志田晃教授が6人目のパネリストとして参加し、若林直樹教授がコーディネータとして議論を進めました。日本の殻を破って世界へ打って出るときの、それぞれの企業、業態ならではの苦心や工夫が紹介され、日本的強みを推し進めてよい部分と、過信に陥っていないか再確認すべき部分などの議論がありました。
結語では経営管理大学院の若林靖永副院長がシンポジウム全体を総括したあと、おりしも来日中のブータン国王による感動的な演説より、「日本国民の価値観や資質が何世紀もの歴史から生まれてきたものであり、そうした力を備えた日本には、非常に素晴らしい未来が待っていることでしょう」を引用して閉会しました。
本シンポジウムへは多種多様な産業・学術分野から大勢の参加者が集まり、プログラムを通して熱心に聴講されました。参加者からは、「よくこれだけのメンバーを集めた」、「もっと議論を聞いていたかった」など、好評を博しました。
![]() 基調講演の様子 | ![]() 中村文峰老大師 |
![]() パネル I 「京のおもてなし」 | ![]() パネル II 「和のサービスの国際化」 |