農学研究科食の未来戦略講座(味の素寄附講座)、農学研究科、東南アジア研究所の共催で、タイのカセサート大学(バンコク市)において、「だしイベント」を開催しました。
2009年より始まった本イベントは今年で3回目を迎えました。日本料理とタイ料理は魚のだしの風味を生かした料理というところに共通点があります。本イベントでは、日本料理に多用されるだしのうま味を共有し、自国の伝統的な食の継続意義、真に豊かな食生活とは何か、について意見交換することを目的としました。「食」や「農業」、「日本文化」を研究テーマにしているカセサート大学の学生の皆さんに、本学における「食」に関する最先端の研究を紹介するとともに、日本料理の根幹をなす「だし」を体験してもらいました。カセサート大学からは農学・家政学・日本語学科の学生や教員、総勢約90名の参加がありました。
カセサート大学の国際交流センター職員による本イベントの趣旨説明の後、伏木亨 農学研究科教授による "Importance of traditional UMAMI taste for Asian"(アジア人にとっての伝統的なうま味の重要性)と題した伝統食の重要性に関する講演、山崎英恵 同助教による "An introductory guide to traditional Japanese cuisine" (伝統的日本料理の紹介)と題する講演を行いました。これに続いて、京都の有名料亭(一子相伝なかむら、木乃婦、直心房さいき)の料理人3名による実演が行われました。出席者は、かつおと昆布をふんだんに使ったダシの引き方を見学し、現地の食材で仕上げられた「お吸いもの」と「酢の物」「鰻棒寿司」を試食しました。
本取り組みは、日本料理への興味喚起にとどまらず、アジア全体の食を考え直すきっかけとなり、聴講したタイの学生だけでなく開催した本学関係者にとっても、大変有意義な意見交換の機会となりました。
![]() 伏木教授による講義 | ![]() 山崎助教による講義 |
![]() 熱心に講義を聴く学生 | ![]() 香り高いダシを真剣な表情で味わう参加者 |
![]() 講義の後にダシの引き方を実演 | ![]() 日本のダシの香りが講義室に広がる |
![]() 日本語学科の学生が通訳を務めた | ![]() 前列二人目からから高橋拓児氏、才木充氏、中村元計氏、山崎助教、後列左二人目から伏木教授、縄田栄治 教授(農学研究科)、富田晋介 助教(東南アジア研究所バンコクオフィス駐在員/東京大学農学生命科学研究科) |