物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)が、ハイデルベルグ大学SFB873と合同シンポジウムを開催しました。(2011年7月21日~23日)

物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)が、ハイデルベルグ大学SFB873と合同シンポジウムを開催しました。(2011年7月21日~23日)

 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)とドイツハイデルベルグ大学 SFB873(幹細胞の維持・分化に関する共同研究センター)は、ハイデルベルグ大学構内にあるドイツがん研究所(DKFZ)で合同シンポジウムを開催しました。

 シンポジウムでは細胞生物学や物質科学などの分野で著名な研究者33人が登壇し、各々の最新の研究成果と知見を発表しました。ハイデルベルグ大学の設立650周年であると同時に日独交流150周年にもあたる年の開催となったこのシンポジウムには、研究者・学生に加え、行政・企業・出版社などから約300人が来場しました。

 開会式では、本学からは吉川潔 理事・副学長、ドイツからはハイデルベルグ上級市長のエッカート・ヴュルツナー博士、DKFZ所長のオトマー・ヴィストラー教授、ハイデルベルグ大のトーマス・ラウシュ副学長、SFB873代表のアンソニー・ホウ教授らが登壇しました。吉川理事・副学長がドイツ語での祝辞を述べ終えた際や、ホウ教授がサッカー女子ワールドカップ優勝を称え「なでしこジャパン」をスライドで映した際は、ひときわ大きな拍手が起こりました。

 シンポジウムは「Crossing Boundaries: Stem Cells, Materials, and Mesoscopic Sciences(幹細胞、物質、メゾ科学の学際領域へ)」と題され、両機関の研究分野の多くを網羅する学際性が特徴的でした。そうした学際性から生まれる幹細胞技術イノベーションの可能性などについて、講演者と参加者が活発に意見を交わしました。

 最終日には、特に優秀な研究ポスターの作成と発表をした若手研究者に対し、ポスター賞の授与を行い、シンポジウムは閉会を迎えました。

 両機関の交流は、1990年に京都大学とハイデルベルグ大学の間で締結された学術交流協定に端を発します。2010年7月にはハイデルベルグ大学、ゲッチンゲン大学、カールスルーエ工科大学、大阪大学、東北大学、京都大学の総長・学長らが集う日独6大学長会議がハイデルベルグ大学で開かれました。その分科会「Life Sciences Meet Natural Sciences: Crossing the Border」では、中辻憲夫 iCeMS拠点長と田中求 ハイデルベルグ大学教授が座長を務め、ホウ教授が講演者となりました。同年11月、ホウ教授らがiCeMSでの合同セミナーで登壇し、さらに同月、ハイデルベルグ大学での幹細胞シンポジウムでは中辻拠点長が招待講演者となりました。

 活況となった今回のシンポジウムを受け、物質科学と細胞科学の学際研究における両機関の協働が、今後さらに加速することが期待されます。

ポスター賞受賞者

Category I

Christine Muth
"Engineering an artificial, hematopoietic stem cell niche: Mimicking signals of the extra cellular matrix"

Category II

Ganesh Pandian
"Synthetic transcription factors for stem cell control"

Category III

Fani Papagiannouli
"The Hox gene Abd-B regulates stem cell niche positioning to prevent premature aging of drosophila testis"

Category IV + VI

Thomas Kaindl
"Regulation of dynamic cell response with laterally confined domains embedded in supported membranes"

Category V

Gabor Daum
"Cell-to-cell movement of a stem cell inducing transcription factor in plants"

Special

Nobuhiro Morone, Ganesh Pandian, and Hiroyuki Kodama
"Imaging the interface between cell and material sciences: Namely, 'Mesospace'", "Synthetic transcription factors for stem cell control", and "Managerial approaches to facilitate interdisciplinary research — Case study at iCeMS, Kyoto University" respectively

関連リンク


会場となったドイツがん研究所(DKFZ)のコミュニケーション・センター

会場内の様子

左から、田中ハイデルベルグ大学教授、ホウSFB873代表、吉川理事・副学長、北川進 iCeMS副拠点長、ヴィストラーDKFZ所長、中辻iCeMS拠点長

サッカー女子ワールドカップ優勝を称えるホウ教授

ヴュルツナーハイデルベルグ上級市長

ドイツ語で開会挨拶をする吉川理事・副学長

休憩時間にも議論を続ける中辻拠点長とホウ教授
研究内容を紹介するポスターを使って議論を交わす研究者

ポスター賞を受賞したガネッシュ・パンディアン iCeMS研究員

ポスター賞を受賞した諸根信弘 iCeMS講師

ポスター賞を受賞した小玉裕之 iCeMS研究員

ホウ教授から記念の品を受け取る中辻拠点長

シンポジウム参加者の集合写真