芝蘭会館稲盛ホールにて、工学研究科低炭素都市圏政策ユニット第3回国際シンポジウムを開催しました。このシンポジウムでは、低炭素社会を実現するために必要な都市計画・交通政策について、韓国、フランスからの講演者をはじめとして様々な分野で活躍する自治体職員、実務家、研究者、学生が参加し、活発な議論が交わされました。
低炭素都市圏政策ユニット長の谷口栄一教授より、開会の挨拶ならびに本シンポジウムの趣旨説明があった後、韓国交通研究院・グリーン成長実践研究本部長であるJaehak OH氏より「グリーン成長のための韓国の交通戦略:政策と技術の融合」と題して、韓国における新しい交通戦略について講演されました。ソウルでは既にBus Rapid Transit(BRT)の導入、都市高速道路を撤去した清渓川の水辺再生を行っており、今後、さらなる都市の成長と環境との調和を図るための構想について説明されました。また、立体的な公共交通の必要性、自転車専用の高速道路の整備、道路空間の再配分による緑豊かな歩行者空間の創出、駅周辺の施設整備など現在構想中のプロジェクトが紹介されました。
次に、ニース・コート・ダ・ジュール都市圏共同体 トラム・交通整備局長であるAndre' VON DER MARCK氏より「ニース都市圏のトラム整備とフランスの交通政策」と題して、ニース都市圏で進められているLight Rail Transit(LRT)を中心とした交通政策について講演をされました。ニースは南仏の風光明媚な海岸線として有名なコート・ダ・ジュールにある保養都市で、観光客も多く訪れ、老後の別荘に移り住む人や移民も多い都市です。既にLRTが1路線整備され、公共交通の利用者を増加させるため、路線の新設が計画されており、その概要とトラム整備と一体化した都市整備について説明されました。また、MARCK氏は、LRTの導入と総合的な都市政策を推進することによって中心市街地を再生させた事例として注目されているストラスブールで、トラム整備プロジェクトの責任者でもあったため、両都市を踏まえたうえで、フランスの交通政策と連携した持続可能な都市を目指した政策について話を展開されました。
両講演とも多くの質問があり、日本と韓国の駅周辺開発の違い、トラムを整備して公共交通の利用者が増えるのかなど活発な議論が展開されました。最後に低炭素都市圏政策ユニットの中川大教授より、まとめと閉会の挨拶があり、シンポジウムは盛会のうちに終了しました。
![]() OH氏による基調講演 | ![]() MARCK氏による基調講演 |
![]() 質疑応答 | ![]() 会場の様子 |