松本紘 総長からの西島安則 元総長逝去に対するコメント

松本紘 総長からの西島安則 元総長逝去に対するコメント

 西島安則 元総長の訃報に接し、誠に残念で、また、京都大学にとって大きな損失であり、京都大学の教職員を代表して心からご冥福をお祈り申し上げます。

 西島安則先生は第21代総長として昭和60年12月16日に就任され、平成3年12月まで6年間、長期的な将来計画に基づき多くの改革を推進されました。

 特に新キャンパス構想は現在桂キャンパスとして実現しており、そのほかに教養部改革により、平成3年4月には大学院人間・環境学研究科を新設されました。

 また、国際的な学術交流の推進にも意欲的に取り組まれ、国際交流センターおよび留学生センターの設置、京都大学名誉博士制度の発足のほか、外国の大学との大学間学術交流協定の締結も平成元~2(1989~90)年だけで10件に上り、現在の本学の国際化の基礎を構築されました。その他にも、本学の情報基盤ネットワーク(KUINS)の構築、京都大学学術出版会の創立など、教育・学術研究の基盤整備を推進されました。

 西島安則元総長は、教育・研究者としても、学生部長や学部長を歴任され、工学教育を推進されるとともに、工学だけにとどまらず理系の分野に幅広く活動され、総長になられてからは文系の造詣も深く、多くのご指導を賜りました。学術分野としては日本学術会議副会長および日本化学会の会長を歴任され、平成16年瑞宝大綬章を受賞されました。

 総長ご退任後も大きな後ろだてとなっていただき、私が総長に就任後も、法人化後の多くの課題を有する大学運営について、多くの貴重なご意見とご指導を賜ってまいりました。これからも大学間交流等様々な分野でご指導・ご支援いただきたいと思っていたところ、このたびの訃報に接し心から残念に思います。 

 これまでのご指導とご支援に心からお礼申上げますとともに、ご冥福をお祈りしたいと思います。

平成22年9月5日
京都大学総長 松本 紘