電力変換装置の損失低減と信頼性向上を実現するSiCトランジスタを開発-リーク電流90%減・絶縁耐圧1.5倍で低炭素社会に貢献
用語解説
高誘電率ゲート絶縁膜
従来のシリコン酸化膜(SiO2)を主成分としたゲート絶縁膜に代わる、金属酸化物(HfO2やAl2O3など)からなるゲート絶縁膜。シリコン酸化膜に比べて比誘電率が高いため、電気的な膜厚を維持したまま物理膜厚を厚くすることが可能であり、MOSFETの消費電力・発熱を飛躍的に低減するとともに信頼性を向上することができる。比誘電率を表す記号κから転じてhigh-k絶縁膜とも呼ばれる。
SiC(Silicon Carbide)
炭化ケイ素。電気自動車、産業機器、鉄道、発送電システム、家電など幅広く用いられているパワーデバイス用途を考えた場合、SiCの方が従来の半導体材料であるSiよりも優れた物性を有することから、高電圧や高温条件下での動作が可能になり、小型化・低消費電力化・高効率化が期待されている。
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)
金属-酸化膜-半導体製の電界効果トランジスタ。ここで、金属はゲート電極、酸化膜はゲート絶縁膜とも呼称される。ゲート端子に印加する電圧によって、ソース-ドレイン端子間の導通・絶縁を制御する3端子デバイス。電気回路におけるスイッチング素子として用いられ、特に大電力を扱うものはパワーMOSFETと呼ばれる。導通時の抵抗(オン抵抗)が高いほど、エネルギー損失(導通損失)が増大してしまう。
電力変換
交流(AC)から直流(DC)、直流から交流、周波数や電圧の変換などを指す。
ショットキーバリアダイオード(Schottky Barrier Diode: SBD)
金属と半導体を接合したときに生じるエネルギー障壁(ショットキー障壁)を利用して整流作用を持たせた2端子デバイス。