自己フィーダー細胞を用いたヒトiPS細胞の樹立、培養に成功 -医療応用可能なiPS細胞作製に向けて一歩前進へ-

自己フィーダー細胞を用いたヒトiPS細胞の樹立、培養に成功 -医療応用可能なiPS細胞作製に向けて一歩前進へ-

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用語解説

人工多能性幹細胞(iPS 細胞:induced pluripotent stem cell)

体細胞に特定因子を導入することにより樹立される、ES細胞に類似した多能性幹細胞。2006年に山中教授の研究グループにより世界で初めてマウス体細胞を用いて樹立された。

フィーダー細胞

細胞の増殖や分化を支持する細胞。マウス胎仔線維芽細胞がよく用いられる。制がん抗生物質マイトマイシンCやX線照射をして、フィーダー細胞の増殖能を不活性化して使用する。

核型

生物の染色体の数、大きさ、形態などによってあらわされる染色体の構成。

レトロウイルスベクター

ベクターとは、細胞外から内部へ遺伝子を導入する際の「運び屋」を指す。ウイルス由来のベクターは、遺伝子導入効率の高さから盛んに開発されてきた。目的 遺伝子をウイルスに組み込み、細胞に感染させることにより遺伝子を導入する。レトロウイルスベクターは、このウイルスベクターの1種類として確立されたも ので、宿主の細胞に感染したあと、宿主のDNAのなかに入り込み、自らのウイルスを増殖させる性質を利用するものである。

胚性幹細胞(ES細胞:embryonic stem cell)

ES細胞は受精後6, 7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製される多能性幹細胞の一つで、あらゆる組織の細胞に分化することができる。しかし、受 精卵を破壊する必要があり、患者自身の細胞から作製することが困難なため、免疫拒絶の問題が指摘されている。

抗原

生体内に入ると免疫系を刺激して、特異的な反応を誘発させる物質の総称。

プリオン

ヒツジ、ウシ、ヒト等の特定の病気の病原体で、たんぱく質性の感染粒子のこと。

SNL細胞

マウス線維芽細胞の一種。フィーダー細胞としてよく用いられる。

継代培養

培養した細胞を培養皿から取り出し、新しい培養皿に移し、再び培養すること。

未分化細胞マーカー

未分化なES細胞やiPS細胞において特異的に発現する遺伝子。これらの遺伝子が発現していることは、細胞が未分化状態であることの指標となる。逆に神経、筋肉、血液といった分化した細胞にもそれぞれ分化細胞マーカーが存在する。

胚様体(embryoid body: EB)

ES細胞やiPS細胞などを浮遊培養するとボール状の細胞塊を形成する。この状態で2週間程度培養すると、様々な細胞種への分化が観察される。細胞の分化多能性を調べる一般的な方法の一つである。

テラトーマ (奇形腫)

ES細胞やiPS細胞を免疫不全マウスに注射すると、腫瘍を形成する。この腫瘍はテラトーマと呼ばれ、様々な種類の組織が混在している。テラトーマを観察し、様々な組織に分化していることを確認することは、細胞の分化多能性を調べる一般的な方法の一つである。