学術情報メディアセンターセミナー 「計算力学の大規模並列計算とプリ・ポスト処理」

学術情報メディアセンターセミナー 「計算力学の大規模並列計算とプリ・ポスト処理」

 京都大学学術情報メディアセンターでは、月に一度、各分野でご活躍の講師をお招きし、それぞれの研究開発活動の内容や現在抱えている課題についてご紹介いただき、参加者を含めて広く議論を行う機会として、月例セミナーを開催しています。

 1月31日の学術情報メディアセンターセミナーでは、中央大学理工学部教授の樫山和男氏、九州大学大学院工学研究院准教授の浅井光輝氏、愛媛大学大学院理工学研究科准教授の中畑和之氏および独立行政法人産業技術総合研究所の松本純一氏をお招きし、ご講演いただきます。

 学内外を問わず多数の方の参加をお待ちしています。

日時

2012年1月31日(火曜日) 16時30分~18時30分

場所

京都大学 学術情報メディアセンター南館2階 202 マルチメディア講義室
(お身体の不自由な方にはエレベーターをご利用いただけますので、事務室にお申し付けください。)

参加費用

無料

参加申し込み

不要

プログラム

16時30分~17時00分

講演者: 樫山 和男 (中央大学理工学部 教授)
講演題目: VR技術を用いた大規模非構造格子用プリ・ポスト処理システムの構築
講演概要: CFDは、設計支援ツールとして必要不可欠となっているが、解析モデルが複雑かつ大規模な場合、これまでの2 次元ディスプレイやスクリーンを用いた可視化では、そのプリ・ポスト処理において以下の問題点がしばしば指摘されている。プリ処理においては、自動メッシュ生成ソフトにより作成されたメッシュの品質を確認・修正することは困難である。また、ポスト処理においては、三次元的な現象を正確に把握することは困難である。
近年、これらの問題点を解決するために、バーチャルリアリティ技術に基づく没入型投影技術(IPT:Immersive Projection Technology)の活用が注目されており、講演者らはプリ処理における支援システムとして、VR 空間内において非構造格子に基づくメッシュの品質の確認や修正が可能な対話型のメッシュ修正システムを、また、ポスト処理における支援システムとして、VR空間内において計算結果の可視化を対話的に行うシステムを構築した。本システムの有効性を検討するため、大気環境流れ問題の大規模計算に適用を行った。以上の検討内容を紹介する。

17時00分~17時30分

講演者: 浅井 光輝 (九州大学大学院工学研究院 准教授)
講演題目: 粒子法による津波遡上解析に向けた大規模並列化の準備状況
講演概要: 本研究では、沿岸地域の地上・海底地形を数値地図を基に三次元でモデル化し、粒子法により津波遡上問題を解析するツールの開発を目指している。数千万程度の粒子を用いた大規模粒子法の解析をスーパーコンピュータ上で高効率に実施するために、有効なハイブリット並列化方法を検討しており、その開発状況を紹介する。

17時30分~18時00分

講演者: 中畑 和之 (愛媛大学大学院理工学研究科 准教授)
講演題目: イメージベースFIT による音波・弾性波・電磁波伝搬解析とリアルタイムシミュレータへの実装
講演概要: 音波・弾性波・電磁波等の物理波動は、物理地下探査、魚群探知、室内音響、振動、エレクトロニクス機器など広く工学問題に応用されている。これらの波動の物理的な性質や適用分野は全く異なるが、支配方程式の観点でみればいずれも双曲型偏微分方程式であり、統一的なアプローチで精度良く方程式が解けることを示す。ここでは、数値解析法として陽的有限積分法(FIT)を採用し、イメージベース処理を組み込んだ波動伝搬解析について述べる。また、マルチCPU・GPUを用いた超並列高速計算方法についても触れ、種々の工学波動問題に対応したリアルタイムシミュレータのプロトタイプについて紹介する。

18時00分~18時30分

講演者: 松本 純一 (独立行政法人産業技術総合研究所)
講演題目: 気液二相流および形状最適化問題における大規模並列流体解析
講演概要: 任意分割に優れた非構造格子(三角形、四面体)への適用が可能な直交基底気泡関数要素を提案し、気液二相流および形状最適化問題における有限要素流体解析について解説する。気液二相流問題では、京都大学学術情報メディアセンターのスーパーコンピュータ(1024コア)で実施したPhase-Fieldモデルを用いた陰的混合有限要素法による一億自由度並列解析を中心に紹介する。形状最適化問題では、随伴法に基づいた非定常Navier-Stokes方程式における最適化手法について解説を行い、数値的に形状を求めていく反復過程で発生する形状の波打ち現象を回避可能な形状平滑化法を提案し、円柱周り・球周りの抗力最小化問題を取り上げ、百万自由度並列解析の実施例について紹介する。

※懇親会はありません。

問い合わせ

京都大学 学術情報メディアセンター 牛島 省
TEL: 075-753-7493
ushijima*media.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)

主催

京都大学 学術情報メディアセンター