東南アジア地域研究研究所「Visual Documentary Project 2017」上映会・トーク

開催日
2017年12月07日 木曜日
時間
開演 13時30分(開場 13時00分)
要申し込み
不要
公開日
 東南アジアは着実に都市化しつつあります。2025年までに人口の50%弱が都市生活者となると予測されており、東南アジアの都市の景観は急速に変容しています。そのような中で、人々はどのような生活を営んでいるのでしょうか。スラム街の住人から金融街の住人、不法居住区からゲーテッド・コミュニティ、そして、地域再生プロジェクトから大規模都市再生まで、いかなる価値観が東南アジアの都市の暮らしを形作っているのでしょうか?また文化多様性や伝統、芸術といった概念は都市生活にどのような特徴をもたらすのでしょうか。

 2017年、Visual Documentary Projectでは、東南アジアにおける都市生活を扱った、インスピレーション豊かなドキュメンタリー作品を募りました。上映作品選考委員が100本を越える応募作品の中から選んだ5編を公開上映いたします。

基本情報

開催地
  • 吉田キャンパス
東南アジア地域研究研究所、稲盛財団記念館・大会議室
薬学部構内マップ[64]
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_m.html
対象
  • 在学生の方
  • 一般・地域の方
どなたでも参加いただけます。
定員
100名

イベント内容

プログラム

13:30: 表彰式
14:00: 作品上映1 しらさぎ White Egret
14:35: 作品上映2 黄昏の郷愁 Nostalgia Senja (Reminiscences of the Dusk)
15:10: 作品上映3 ABCなんて知らない I don’t know much about ABC
15:45: 休憩 Break
15:55: 作品上映4 私たちのヤンゴン Yangon, the City Where We Live
16:35: 作品上映5 密告 Timbre(Tip-off)
17:10: ディスカッション

コメンテーター

若井真木子(山形国際ドキュメンタリー映画祭・東京事務局)
山本博之(京都大学 東南アジア地域研究研究所 准教授)
福岡正太(国立民族学博物館 准教授)
小林知(京都大学 東南アジア地域研究研究所 准教授)
川本佳苗(龍谷大学)
日下渉(名古屋大学大学院 准教授)

「White Egret」(しらさぎ)

マレーシアのジョホールバルで水上生活を営む先住民セレタール人に関するドキュメンタリー。夫婦のアインとナシールを中心に、彼らが海から岸辺の村に移動したことが、ライフスタイルや生業にどのような影響を与えたかを映像で伝えている。急速な社会変化のなかで、コミュニティが柔軟性をもって対処し、不安定な未来に立ち向かう様子を描く。

監督: Loh Yoke Ling 、制作国: マレーシア

「Nostalgia Senja (Reminiscences of the Dusk)」(黄昏の郷愁)

このドキュメンタリーは、ガンバン・クロモンの演奏者であるゴーヨン氏が、自らの過去の栄光について思い起こす姿を繊細に描写している。一人の男性が音楽の保存のために一生を捧げた様子を取リ上げることで、現 代インドネシアが抱える伝統芸能存続の難しさを浮き彫りにする。

監督: Fazhila Anandya、 制作国: インドネシア

「I don’t know much about ABC」(ABCなんて知らない)

カンボジアの首都プノンペンの路上のホームレスとして生きるある父子の姿を通して、彼らが抱える困難を映し出すドキュメンタリー。よリ良い未来を切リ開くには教育が不可欠であることを示すとともに、ローン・ダラが息子を育てるために日々直面する試練をたどる。

監督: Sok Chanrado, Norm Phanith、 制作国: カンボジア

「Yangon, the city where we live」(私たちのヤンゴン)

甚大な変化を遂げつつあるヤンゴンをユニークな視角から映し出す。和をもって生きることは生きる技である。都市の魅力は、抗しがたく誘惑的である。ヤンゴンは、農村からの移民にとって皆で暮らせば安全な砦となる。詩の朗読と、都市ヤンゴンの風景映像を織り交ぜるユニークな手法で、このドキュメンタリーは、希望や願望にあふれる都市に住む多様な人々が、心のなかで抱く葛藤や忍耐を描いている。

監督: Shin Daewe 、制作国: ミャンマー

「Timbre (Tip-off)」(密告)

ドゥテルテが政権の座について以来、フィリピンでは、政府による麻薬撲滅キャンペーンのもとで横行する毎夜の人斬りが人々を恐怖におとしめている。このドキュメンタリーは、愛する息子をこの闘いで失ったある家族が経験する苦境を描き、現在進行中のフィリピンにおける政治危機を、ある個人の視点から赤裸々に描いている。

監督: Camille Samonte, Pam Bareo 、制作国: フィリピン

備考

主催: 京都大学東南アジア地域研究研究所
共催: 国際交流基金アジアセンター

Visual Documentary Projectについて


 東南アジアは、多様な民族、宗教、文化で構成されています。その多様性を共存させつつ、地域全体としては経済的な前進を遂げ、人、モノ、カネ、情報の流れのハブとなっています。しかし、同時に、熱帯林の減少や生物多様性の危機、災害、疫病、高齢化、民族や宗教の抗争、経済的階層化と貧困など、多くの問題も抱えています。このような多様性の中で、人々はどのように共存し、社会の持続性はどのように維持されているのでしょうか。人々の日々の生活を支える地域の社会基盤を、どのように利用できるでしょうか? そして、それらを既存のガバナンス・システムと組み合わせて諸問題の解決につなげるには、どうすればよいのでしょうか。

 Visual Documentary Projectは、これらの疑問への答えを東南アジアの現状に即して見いだすために、2012年度、京都大学東南アジア研究所が開始した東南アジアの映像作家が制作する短編ドキュメンタリーを募集・上映するプロジェクトです。2014年度から、国際交流基金アジアセンターも共催者として加わり、作品を通して東南アジア地域の現状を捉え、諸問題の解決へとつなげる試みを行っています。
お問い合わせ
東南アジア地域研究研究所
E-mail: vdp*cseas.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)