企画展「アイ・プロジェクト」 を開催中。(2011年6月14日)

企画展「アイ・プロジェクト」 を開催中。(2011年6月14日)

  霊長類研究所は、百周年時計台記念館歴史展示室内企画展示室において、企画展「アイ・プロジェクト」を6月6日(月曜日)~6月27日(月曜日)まで開催しています。

   本企画展では、アイ・プロジェクトの34年間の歴史とともに、最新の研究成果を展示しています。死を悼む野生チンパンジーの映像をご覧いただけます。

  また、体験型展示として、最新版の展示を用意しました。アユムやクレオといった子どもチンパンジーたちの「数字記憶課題」を体験できます。ぜひチンパンジーに挑戦してみてください。チンパンジーと同じ装置・同じ手続きで記憶課題に挑戦することにより、彼らのすばらしい能力に驚かれると思います。

研究の軌跡と現状

   霊長類研究所でおこなわれているチンパンジーの心の研究について紹介します。最初の研究パートナーとなったチンパンジーにちなんで、アイ・プロジェクトと名付けています。1978年4月15日に、アイが初めてコンピュータのキイボードに触わりました。

  その後、多数の研究者が、チンパンジーの知覚・記憶・言語・模倣・協力などについて実証的な研究を積み重ねてきました。

  1986年からは、西アフリカ・ギニアのボッソウの野生チンパンジーの研究もおこなっています。彼らはさまざまな道具を使います。アフリカ広しといえども、ここのチンパンジーだけが、一組の石器を使ってアブラヤシの種を叩き割ります。長く続く親子関係を基盤に、教えない教育・見習う学習によって、世代を超えて文化が伝わります。

  2000年に、3組の母子が研究所に誕生しました。参与観察という手法で、彼らの日々の暮らしに参加しつつ子どもたちの発達過程を研究してきました。

  さらに2010年からはコンゴ盆地に住むチンパンジーの別種である野生ボノボの研究にも着手しています。こうして実験室の研究と野外の研究を並行しつつ、進化の隣人チンパンジーの心のまるごと全体をとらえようとしています。

  チンパンジーを知ることで、人間とは何かを考える。そうした研究の軌跡と現状をお伝えします。


展示の様子(1)

展示の様子(2)