「地質の日」記念企画展「大地は語る2011-読み解こう!!地球の歴史」を開催しました。(2011年5月14・15日)

「地質の日」記念企画展「大地は語る2011-読み解こう!!地球の歴史」を開催しました。(2011年5月14・15日)

 総合博物館において「地質の日」記念企画展「大地は語る2011-読み解こう!!地球の歴史」を、理学研究科地質学鉱物学教室と総合博物館の共催により開催しました。2日間で330人を超える一般市民や報道関係者が訪れ、非常に盛況でした。

 地質の日は、社会に地質学を啓発することを目的として、地質学関係の組織・学会が発起人となって提唱されたもので、1876年5月10日に日本初の広域地質図が作成されたことにちなんで5月10日に設定されています。これに合わせて毎年5月10日前後には、全国各地の博物館等において「地質」への理解を推進するための一般向けイベントが行われています。

 本学における地質の日記念イベントの開催は、今年で3度目となりました。今回は、地質学鉱物学教室の研究紹介と研究試料実物の展示のほか、特別展として関東大震災時の資料の展示・解説を行い、また、地質学鉱物学教室の教員・院生によるミニ講義、岩石薄片の偏光顕微鏡観察体験、化石クリーニング実演など盛りだくさんの内容でした。なお、企画・立案から運営全般を大学院生が担当しました。

 特別展示では1923年の関東大震災を取り上げ、総合博物館に保管されていた関東大震災を報じた「静岡新報」(同年9月2日~17日付、合計23点)、および当時の地質学鉱物学教室が派遣した先遣調査団から教室初代主任の小川琢治博士(湯川秀樹の父)に宛てられた手紙を展示しました。2つの新資料から、これらは小川博士の指揮により、震災直後に静岡に向かった調査先遣隊の本間不二男により調達されたことが明らかになりました。今から88年前に起きた大震災に本学がどのように向き合ったのかを裏付ける新資料の発見は、新聞社やテレビ局によりタイムリーに報道され、その実物資料の展示をさらに盛り上げました。それと同時に、今後、このような資料の保全に全力を注がねばならないことを改めて浮き彫りにしました。

 また、研究紹介の一部として、最近同教室の前田晴良 准教授らの研究グループがその成因を解明し、複数の新聞に取り上げられていた約5億年前の立体‘ミジンコ’化石の実物を展示しました(群馬県立自然史博物館と共同)。古生代カンブリア紀後期の微細な化石が、目や付属肢を残して立体的に保存されている様子には、顕微鏡をのぞきこんだ来館者から驚きの声が上がっていました。

 来館者へのアンケート結果によると、来館前よりも「地質」に関する興味が増した人の割合は85%を超え、また、来年以降の開催を望む声や次回に向けた建設的な意見も得られました。人間生活と深く関わっている「地質」への一般の理解を深めると同時に、主催側の学生にとっても普段行っている研究を紹介する良い機会となりました。

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