日沼賴夫 名誉教授文化勲章受章記念式典・シンポジウムを開催しました。(2010年3月12日)
ウイルス研究所は、医学部芝蘭会館において、日沼賴夫 名誉教授の2009年文化勲章受章記念式典・シンポジウムを開催しました。
記念式典では、影山龍一郎 ウイルス研究所長による式辞の後、松本紘 総長および光山正雄 医学研究科長から、日沼名誉教授の功績に対する敬意が表されるとともに、文化勲章受章への祝辞がありました。特に松本総長は、参加している若い研究者に対して、京都大学次世代研究者育成支援事業の「白眉プロジェクト」を紹介し、そのプロジェクトの中から世界トップレベルの研究成果が生まれることを期待している旨を述べました。
式典に引き続き開催した記念シンポジウムでは、まず、日沼名誉教授がウイルス研究所で行った成人T細胞白血病ウイルスの発見を「がんウイルス100年」と題して研究活動を回顧されました。その後、シンガポール大学の伊藤嘉明 教授が「がん研究への与えたインパクト」と題した講演で、現在の科学の目から同名誉教授の業績を振り返りました。続いて各シンポジストが、同名誉教授の研究成果がEBウイルスやC型肝炎ウイルスなどの他のがんウイルス研究へ与えたインパクト、成人T細胞白血病の発病メカニズムの解明、免疫学的理解、治療法開発の進歩など最新の研究成果の報告を行いました。また、日沼名誉教授のヒトがんウイルスの発見という先駆的研究成果は、成人T細胞白血病ウイルスの分布状況や感染経路を明らかにすることに直結し、さらに、その後のエイズウイルスの分離同定やそれに対する薬剤開発研究に多大の貢献をしたことを紹介しました。
シンポジウムでは、活発に質疑応答が行われ、参加した約250名は、メモをとるなど熱心に聞き入っていました。
![]() 松本総長 | ![]() 日沼名誉教授 |
![]() 左から松本総長、日沼名誉教授、光山医学研究科長 | ![]() 記念式典で挨拶する日沼名誉教授 |