経営管理大学院 関西アーバン銀行寄附講座国際シンポジウムを開催しました。(2009年10月29日)

経営管理大学院 関西アーバン銀行寄附講座国際シンポジウムを開催しました。(2009年10月29日)

 東京の政策研究大学院大学において、京都大学経営管理大学院 関西アーバン銀行寄附講座国際シンポジウム「東アジア市場統合への道筋-日中韓平和構築へのロードマップ-」を、外務省の後援、世界平和研究所、JETRO、日中経済協会、日韓経済協会、アジア調査会の協力の下に開催しました。

 冒頭、来賓として、世界平和研究所会長 中曽根康弘元総理より「京都大学がこのような先見性のあるシンポジウムを開催したことに敬意を表する、大いに教えを請いたい」とのご挨拶をいただきました。続いてハーバード大学名誉教授 エズラ・ボーゲル先生より、本テーマに関する日中韓および米国を含む東アジアの現状について、基調報告が行われました。その後6人のゲストから、それぞれの立場に基づく基本見解が提示されました。中国の立場を代表して中国工業経済学会会長 鄭新立氏、韓国の立場を代表してソウル国立大学教授 朴明圭先生が基本見解を表明されたのち、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授 浦田秀次郎先生、世界平和研究所理事長 大河原良雄氏(元駐米大使)、三井物産株式会社特別顧問 上島重二氏(元経団連副会長)、株式会社三井住友フィナンシャル・グループ代表取締役社長 北山禎介氏(京都大学経営管理大学院特命教授)が、それぞれ学界、外交界、産業界、金融界の立場を代表して基本見解を表明されました。

 その後、経営管理大学院客員教授 杉本孝を司会とし、エズラ・ボーゲル教授を含む7人のゲストをパネリストとして、2ラウンドにわたるパネルディスカッションを行いました。第1ラウンドでは、「これまで日中韓のFTA交渉がなかなか進展しなかった直接の原因と、その原因を取り除こうとする努力が必ずしも積極的にはなされなかった理由」について、第2ラウンドでは、「日中韓3国間の不十分な相互信頼の現状を改め、互いに信頼し合える隣国となるために、日中韓3国はどのような共同事業に取り組むべきか、またそのために、日中韓3国はそれぞれ独自で、どのようなことに取り組むべきか」について意見交換が行われました。第1ラウンドでは、日本の農業問題や韓国の中小企業問題等、不利をこうむる産業からの反発や、歴史問題に由来する相互信頼の脆弱さが指摘されました。第2ラウンドでは、日中韓FTAの積極的推進、日中韓首脳会議の定期化・緊密化、APECの活性化、ASEAN+6の推進、エネルギー備蓄、資源調達における協力、環境改善、金融面等での3国共同事業の具体化、相互情報発信の強化(日中韓3国共同ニュースの発信、インターネットでの交流拡大)、人的交流の拡大(日中韓3国間の各種資格の相互承認、大学生の単位互換、各種案内標識の3ヵ国語表示による観光交流の拡大)、自然災害等に対する共同緊急援助体制の構築等について、活発な議論が交わされました。

 今回の国際シンポジウムでは、米中韓ならびに日本各界の著名な識者の生の声を若い世代に伝えるため、高校生や大学生に参加を呼びかけました。時宜に適ったテーマに関心を示した多くの一般参加者と、呼びかけに応じて出席した多くの高校、大学の若い世代に対して、識者の思いと願いを伝える大変有意義なシンポジウムとなりました。


中曽根康弘氏の挨拶

パネルディスカッションの様子