山中 伸弥 物質 - 細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長が武田医学賞を受賞 (2008年10月2日)
このたび、山中伸弥センター長が武田医学賞を受賞されました。贈呈式は、平成20年11月12日に東京ホテルオークラにて執り行われる予定です。
山中伸弥センター長は、昭和62年神戸大学医学部卒業後、大阪市立大学大学院医学研究科博士課程に進学、平成5年同課程修了。同年よりGladstone Instituteにて博士研究員、University of California にて研究員、平成8年1月日本学術振興会特別研究員、同年10月大阪市立大学医学部薬理学教室助手、平成11年12月奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター助教授を経て、平成15年同大学遺伝子教育研究センター教授に就任。その後、平成16年10月京都大学再生医科学研究所教授、平成19年10月同大学物質-細胞統合システム拠点教授を経て、平成20年1月に同大学物質―細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長に就任し、現在に至っています。
また、平成16年度ゴールド・メダル「東京テクノ・フォーラム21賞」、平成18年度日本学術振興会賞、平成19年度大阪科学賞、同年度朝日賞、マイエンブルク賞、平成20年度ロベルトコッホ賞、科学技術特別賞、ショウ賞等を受賞しています。
山中教授の受賞理由は、多能性幹細胞の維持と誘導に関する研究を行い、以下のような顕著な業績をあげられたことに対するものです。
- ノックインマウスの線維芽細胞を用いた多能性誘導アッセイ系により、候補因子の中から4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)の導入で、ES細胞と形態、機能が近似した人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cell)が樹立できることを見出した。
- レトロウイルスによる遺伝子導入効率を向上させる工夫の上、マウスと同じ遺伝子セットを用いて、ヒト皮膚の初代培養線維芽細胞からヒトiPS細胞の樹立にも成功した。そして、ヒトiPS細胞は報告されているヒトES細胞に類似した形態、機能を示した。
- レトロウィルスでゲノムに導入されたc-Myc遺伝子の再活性化によりキメラマウスに腫瘍が発生することが分かり、臨床への応用における課題とされた。しかし、iPS細胞樹立法を改良することでc-Mycを用いず3因子だけでマウスおよびヒトの線維芽細胞からMyc-(マイナス)iPS細胞を樹立することに成功し、安全面での課題を回避出来る可能性を示した。このことで、今後の細胞移植治療への応用、病因の究明や薬剤の毒性評価等を可能とした。