総合博物館 レクチャーシリーズ no.65(シニア・レクチャー) 掘りあてたり!イギリスの初期写真絵葉書と石炭産業

総合博物館 レクチャーシリーズ no.65(シニア・レクチャー) 掘りあてたり!イギリスの初期写真絵葉書と石炭産業

 20世紀初頭に大流行したイギリスの絵葉書。それらは、産業革命期から大英帝国の経済発展を支えた炭鉱の人々をもとりこにしました。100年前の珍しい炭鉱絵葉書を紹介しながら、研究のきっかけとなった日本の炭鉱写真や、研究をとおして見たイギリスをお伝えします。 

スピーカー
乾 由紀子先生
(京都大学大学院人間・環境学研究科 博士後期課程修了)

  • 乾先生からのメッセージ
    「お元気ですか?」 旅先の誰かから送られてきた絵葉書は私たちにも馴染み深いもの。文献を追うだけでなく、古い絵葉書を現地の人々と一緒に見ることによって、一昔前のイギリスや炭鉱共同体の人達が身近に感じられてくるかもしれません。あなたも絵葉書を集めてみては?

乾 由紀子先生の本 『イギリス炭鉱写真絵はがき』について

石炭産業の全盛期と「絵はがきの黄金時代」
[書評]
20 世紀初頭の英国。炭鉱を主題とした絵はがきが世にでまわった。
経営者は、勤勉で愛国心の強い労働者像を宣伝するべく、作業風景を撮影した一連の絵はがきを発行した。いっぽうで、炭鉱町の全景、開坑記念の写真、悲惨な坑内事故の犠牲者、スタジオでポーズをとる労働者の姿、女性労働者たちを写したものなど、さまざまな絵葉書が流通した。
炭鉱の絵はがきを収集し、使用したのは一般の市民だけではない。炭鉱労働者たちも、みずからの職場の絵はがきを求め、知人との私信に利用した。写真の大衆化が、労働者階級にも絵はがきの収集という新しい趣味をもたらしたのだ。
地の底で働き、生死をともにする共同生活のなかで、炭鉱労働者たちはたがいの絆を強めた。絵はがきに写された画像、そしてその収集熱と消費のありかたから、彼らの日常生活と心性に迫る。「絵はがきの黄金時代」は、石炭産業の全盛期と重なっていた。産業史とメディア史に橋を架ける、じつに意欲的な研究書である。 (橋爪紳也 建築史家)

『イギリス炭鉱写真絵はがき』
乾由紀子・著/京都大学学術出版会・刊
2008年1月刊/ A5 判上製・300ページ+カラー8ページ
定価:3570円/ ISBN:978-4-87698-733-7

日時 平成21年3月7日(土曜日) 10時30分~12時00分
場所 京都大学総合博物館 ミューズ・ラボ
お申し込み 不要です。直接博物館へお越しください。
対象 一般の方。内容はおとな向けですが、興味があれば小学生高学年以上の方も大歓迎です!(小学生の場合には保護者同伴)
参加費 無料です。ただし、博物館への入館料は必要です。
※一般400円/大学生・高校生300円/中学生・小学生200円
※70歳以上の方、身体障害者の方は入館無料です。
お問い合わせ 〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学総合博物館
TEL:075-753-3272
ホームページ :http://www.museum.kyoto-u.ac.jp/indexj.html