産官学連携欧州事務所開設の背景と概要
学学連携を基軸とした国際産官学連携の推進
京都大学では、文部科学省の「産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム)」(平成20年度~平成24年度)による「国際的な産学官連携活動」事業を推進しています。本事業においては、海外大学・企業との共同研究の促進、国際技術移転の推進等の国際産官学連携活動を展開しています。
京都大学の国際産官学連携活動の特徴として、単に産(海外企業)と学(京都大学)との連携に留まらず、海外大学を交えた「学学産連携」(あるいは「産学学産連携」)を推進しています。「学学産連携」を推進する背景としては、学術分野における京都大学の高い評価を踏まえ、また研究者・学生交流等を通じて培ってきたネットワーク、更には個々の研究者の人的ネットワークをも最大限に活用した全学的活動として国際産官学連携を捉えていることと、現地の商的習慣・法体系等を熟知した信頼できるパートナーが必要との考えに基づいていることが挙げられます。
「学学産連携」の第一段階として、既存の学術交流協定校に加え、欧米の有力大学・研究機関との間で新たに部局間協定を締結し、また共同研究を推進する等の形で、「学学連携」を基軸にしたグローバルネットワークを構築しつつあります。続く第二段階では、学学連携に基づく具体的な活動として、産官学連携に関わる情報共有、イベントの共催、更には相互マーケティング等を適宜実施し、「学学産連携」の具体化を図る予定です。
海外事務所開設に至った背景及びロンドンに開設した理由
上述の「学学連携」及び「学学産連携」の実現にあたっては、連携相手選択のための調査、連携に至るまでの交渉、あるいは連携に基づく個別案件の交渉・調整が必要です。交渉・調整においては担当者当事者間の信頼関係構築が最も重要であり、そのためには密接なコミュニケーションによる十分な意思疎通が肝要です。情報通信手段が発達した現在とはいえ、依然としてF2F(face to face)ミーティングが最適な意思疎通手段です。必然的に、京都大学からの渡航による先方訪問が数多くなり、今後の活動本格化に向けて、稼働面及び費用面での負担、及び移動時間・時差による対応遅れが懸念される状況となってきました。そこで、国際産官学連携活動の最前線基地として、海外事務所の開設を検討するに至りました。
開設場所としては、有力な連携先候補が比較的近距離(航空機で2時間以内)に集中し、また高等教育の位置付けや契約時の商習慣の面でも(米国と比べると)日本に近いと思われる欧州をまず選択しました。欧州内でロンドンを選択した理由としては、各種情報の最大の集積地であること、英国政府が科学・技術の発展に大変力を入れていることに加え、京都大学の学術交流協定校も多いこと、英語圏であること等が挙げられます。
産官学連携欧州事務所の狙い・役割
前述のように、産官学連携欧州事務所は京都大学が進める国際産官学連携活動の最前線基地としての役割を担っています。在欧州という地の利を活かし、英国・欧州域の大学・企業及び科学技術政策等について、きめ細かく情報収集・情報集約した上で、連携先あるいは連携候補とタイムリーかつきめ細かい交渉・調整を図っていく予定です。また、幅広い人脈を形成し、産官学各界のキーパーソンとの間で信頼関係を醸成することにより、英国・欧州域における将来の産官学連携活動をスムーズに進めるための素地形成も期待しています。これらの活動に加え、産官学連携活動に留まらない京都大学国際化に資する活動として、例えば、大学間共同研究の推進、在欧卒業生のネットワーク作り、海外インターンシップの推進等も支援していく予定です。
欧州事務所の概要
名称: | 京都大学 産官学連携欧州事務所 (Euro Representative of Kyoto University SACI ) |
住所: | NTT Europe – Kyoto University Collaborative Project Room c/o NTT Europe, 3rd floor, Devon House 58-60 St. Katharine’s Way, London, E1W1LB, UK |
メールアドレス: | saci*kyoto-u.eu(*を@に変えてください) |
主な設備: | 会議卓、電話、FAX、PC、プリンタ等(来客によるインターネット接続も可) |