京都人類学研究会4月例会

京都人類学研究会4月例会

演題

暦が停止するとき

日時

2012年4月23日(月曜日) 18時00分開場/18時30分開始

場所

京都大学総合研究2号館 4階会議室(AA447)

対象

どなたでも自由に参加いただけます。

発表者

浜本満氏(九州大学人間環境学研究院)

発表要旨

ドゥルマ(ケニア・コーストプロビンス)の間では4日で一周する「週」が用いられていた。2011年の夏、調査地を訪れた私はそれが完全に消滅していることを知った。誰も今日がドゥルマ週の何曜日か、答えられなくなっていたのである。

毎年、私は調査地に入ると、今日が何曜日かを人に尋ね、ドゥルマの曜日を使って日誌をつけていた。それがこの年には、1983年以来はじめて不可能だったのである。

考えてみてほしい。今から一年後にここに居る誰もが、今日が何曜日か言えなくなってしまうという可能性を。とてもありえそうにない。

私は一年前にはドゥルマの週がなくなるなんて考えてもいなかった。それゆえこの変化は恐ろしく唐突なものに感じた。当のドゥルマの人々自身が、あらためて自分だけでなく自分たちの周囲にも今日が何曜日か知っている人がいないという事実を気まずく感じている風だった。

これは一つの社会的制度や事実が、どのようなものによってリアリティを持ち続けることが出来るのかという問題を改めて私に考えさせた。ANT(Actor Network Theory)の一つの主張を体感できたような気がした。しかし同時に、ANTが前提としていながら、十分な注意を払ってはいない一つのプロセスにも気づかされた。人々の間での知識や信念の相互参照実践のプロセスである。 Dennettが志向性のレベルとして問題にし、Tomaselloがrecursive mind readingと名づけているようなこのプロセスがはらんでいる問題を、人類学ではおなじみの特定の集団の人々が「共有している信念」をめぐる問題系との関連で、考え直してみたい。

申し込み先

事前の参加予約は必要ありません。

問い合わせ先

京都人類学研究会事務局
E-mail: inq_kyojinken*hotmail.co.jp (*を@に変えてください)

【京都人類学研究会2011年度学生幹事】
安念真衣子 泉直亮 薄さやか 康陽球 北川了次 園田浩司 高田洋平 佃麻美 長岡慶 萩原卓也 二ツ山達朗 丸山大介 溝内克之 山口亮太 吉澤あすな

【京都人類学研究会2011年度代表】
アジア・アフリカ地域研究研究科 藤倉達郎(http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/

備考

  • 京都人類学研究会は京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ研究者・大学院生がその研究成果を報告する場です。
  • 当日は資料代として200円いただきます。

共催

科学研究費補助金基盤研究(B)社会運動と開発