テーマ
フィリピン政治と争われる境界線
-新自由主義時代における民主主義の隘路-
日時
2010年6月25日(金曜日)18時00分開場 18時30分開始
場所
京都大学 文学部校舎第6講義室
発表者
日下渉(京都大学人文科学研究所・助教)
コメンテータ
永田貴聖(立命館大学大学院・先端総合学術研究科)
要旨
フィリピン政治は、エリート支配と同時に、活発な市民組織の政治参加でも有名である。従来の多くの研究は、高い道徳性を掲げて積極的に政治参加する「市民」に期待を寄せてきた。だが、正しい「市民」という概念は、悪しき「非市民」という概念も生み出す。実際、貧困層は、政治家のばら撒きに依存し、政治参加に必要な能力と道徳を持たぬ「非市民」として扱われてきた。その背景には、「市民」を標榜する都市中間層が、有権者人口の多数派を占める貧困層の投票に対して嫌悪と恐怖を抱いていることがある。
このような「国民」の分断は、「ポスト福祉国家」化が進む先進諸国でも他人事ではない。「国民」は、経済に貢献できるセクターと、社会保障に依拠せざるを得ないセクターに分断され、後者は政治において正当に扱われない人びとへと転落しつつある。そして、 「国民」の分断は、対等な討議を困難にし、非正当化された人々の不満は政治不安の要因になりうる。
本報告では、民主化後のフィリピン政治を「我々/彼ら」という境界線の構築という視座から分析し、新自由主義時代の民主主義の隘路と可能性についても検討したい。
申し込み
不要です。
備考
※当日は資料代として200円いただきます。
※京都人類学研究会は京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ大学院生・研究者がその研究成果を報告する場です。どなたでも自由に参加いただけます。
お問い合わせ先
京都人類学研究会事務局 inq_kyojinken*hotmail.co.jp (*を@に変えてください)
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