寄附講座「食と農の安全・倫理論」では寄附プロジェクト研究を組織し、食品由来のリスク管理や、農学倫理、農業・食品産業倫理、リスク・食品・科学に関するコミュニケーションについて研究を進めています。
人の命を支える食料を対象にする時、生産者においても消費者においても、守るべき行動規範=倫理が設定されなければならないと考えます。つまり、食べ物を扱うには特別な作法が必要なのではないでしょうか。第3回シンポジウムにおいてはこの問いに対して、生産者の側から議論しましたが、今回は消費者側に立って、持つべき倫理について考えます。
消費者は自らの生命を養う食料の生産を農業者に委ねているので、本来、食料選びに真剣になるのは当然です。しかし同時に、そうした食料への要求が農業者への無理強いになってもいけません。多くの農業者は自らの生活を賭けて真剣に農業を営んでいます。これら双方の真剣さが出会うところに、食べることによる消費者の農業へのかかわりが実を結んでくると思われます。
本シンポジウムでは消費者側から生産者側に働きかけられる様々な動きについて、広く潮流として、あるいは自らの実践に基づいて報告していただくとともに、消費者倫理を考える際のフレームワークについても議論します。
多数の皆様のご参加をお待ちしています。
日時
2010年5月8日(土曜日) 13時30分~17時00分
会場
京都大学農学部総合館 (/ja/access/campus/map6r_n.htm)
西側1階 W100教室(京都市左京区北白川追分町 京都大学北部構内)
プログラム
開会あいさつ
新山陽子(京都大学大学院農学研究科・教授)
講演
- フェアトレードにみる農業者・食品企業・消費者組織の倫理観・理念:コーヒーの国際取引から米の国内取引まで
辻村英之(京都大学大学院農学研究科・准教授) - 生活クラブ生協と遊佐町共同開発米部会の産消提携における消費者倫理
加藤好一(生活クラブ生協連合会・会長) - 産消提携活動35年の経験から考えるあるべき消費者像
大野貞枝(食品公害を追放し安全な食べ物を求める会・前事務局長) - 「食」の未来をみつめ、行動を
井上理砂子(京都新聞・論説委員)
ディスカッション
司会 秋津元輝(京都大学大学院農学研究科・准教授)
参加費
無料です。事前申し込みの必要はありません。
お問い合わせ
京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻(FAX:075-753-6191)
農学原論分野・秋津元輝(TEL:075-753-6181、E-mail:akitsu*kais.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください))
農業組織経営学分野・辻村英之(TEL:075-753-6188、E-mail:tsunji*kais.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください))
その他
- 「食と農の安全・倫理論」は、本学卒業生永井幸喜氏、株式会社ロック・フィールド、エスケー食品株式会社、株式会社明石菊水、鹿児島県経済農業協同組合連合会、ヤマサ蒲鉾株式会社、株式会社モリタ屋、ヒガシマル醤油株式会社からのご寄附によって設立されています。
- 本シンポジウムは、京都大学グローバルCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」、科学研究費補助金「キリマンジャロの農家経済経営と農村発展」、科学研究費補助金「食品分野における消費者政策のプロセス研究」の共催です。