現代世界において劇的に進行している変化の一つは、家族など親密な人間関係の変容ではないでしょうか。これまで家族を安定的に創り上げてきた婚姻をとりあげても、非婚、晩婚、同性婚、事実婚など大きな変化が起きています。さらに少子化や高齢化にともなう育児や介護の社会化の進展は、これまでの近代家族を特徴づけてきた「親密な絆」イメージを一変させつつあります。
こうした変化は、現代世界の巨大な構造転換の一つの表出形です。親しい「身内」との関係のなかに成立してきた〈私〉の世界=「親密圏」と、その外部で社会的規範や国家などの強力な統制下にあった〈公〉の世界=「公共圏」という、わかりやすく明確に分断されてきた二つの世界は、今日、激しく流動化し「入れ子」状に絡み合いながら、新たな秩序をつくりだしつつあります。この変化を、親密圏と公共圏の再編成としてとらえ、その変容の全体を正面からとらえる方法を模索することが、この国際シンポジウムの目的です。
シンポジウムではまず第一部において、アジアとヨーロッパの歴史の中で、親密性/公共性というものがどのように形成され(あるいは形成されなかったのか)というテーマを検討します。続く第二部では、現代のヨーロッパと日本において進行中の親密圏と公共圏の変容を、雇用、政策、言語、地域社会などの変化を切り口にして詳しく見ていきます。私たちの生活と密接に関係し、未来を方向づける「変容する親密圏と公共圏」について、一緒に考えてみませんか。
日時
2009年12月5日(土曜日) 13時30分~18時00分
参加費
無料
会場
京都大学文学部棟第3講義室
プログラム
13時30分~ | 挨拶 苧阪 直行(京都大学・文学研究科長) 落合 恵美子(京都大学・GCOEリーダー) |
13時40分~ |
第一部・歴史 夫馬 進(京都大学) 中村 俊春(京都大学) |
15時00分~ | 休憩 |
15時15分~ | 第二部・現代 レンツ・イルゼ(ルール大学ボッフム校) 太郎丸 博(京都大学) 田窪 行則(京都大学) |
17時15分~ | 討論 カール・カッセゴール(イェテボリー大学) 伊藤 公雄(京都大学) |
主催
京都大学大学院文学研究科
共催
京都大学GCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」
協賛
京都大学文学部以文会
問い合わせ先
京都大学大学院文学研究科総務掛
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
電話: 075-753-2700