日本、アメリカ合衆国、ドイツ、スウェーデンなどという先進諸国の公共政策は大きく異なる。こうした政策の差異は、何が原因で生じるのだろうか。公共政策は、政治家、官僚、有権者、市民団体などのさまざまなアクターが展開する複雑な相互作用の帰結である。政策過程に関わるアクターの行動を制約しながら、政策決定過程に安定性と予見可能性を構築するのが政治制度である。政治制度は、選挙制度、議会制度、内閣制度、官僚制度、それらを統括する憲法などからなるが、政治制度の中で行動する諸アクターは制度の規制的・構成的影響を受ける。そのため近年の政治学研究では、政治制度は、歴史の経路依存的効果とも絡み合って、公共政策の方向性を決定づけることが解明されている。こうした学問的知見は政策実務家と共有されるのだろうか、それとも実態は違うのだろうか、政治制度を改変することによって、公共政策の質を向上させることはできるのだろうか。本シンポジウムは、少子高齢化社会で重要性を増している社会保障政策に着眼し、シンクタンク所長、政策実務経験者、政治学研究者を招聘し、政治制度と政策の関連性についてそれぞれの立場から討論してもらうことによって、研究と実務の交流と相互理解を図る。
日程
2009年2月21日(土曜日) 午後1時~4時30分
場所
京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールIII
プログラム
1時00分 開会の挨拶
初宿 正典 法学研究科長
大石 眞 公共政策大学院研究部・教育部長
岡村 周一 法政実務交流センター長
1時20分 講演
- 京極 高宣 国立社会保障・人口問題研究所所長
「社会保障の政策形成過程 -介護保険を例示として-」 - 松本 勝明 一橋大学経済研究所教授
「政治制度と医療政策 -日独比較の視点から」 - 曽我 謙悟 神戸大学大学院法学研究科准教授
「比較の中の日本の社会保障政策 -政治制度による説明の試み」
休憩
3時15分 パネル・ディスカッション
討論者
京極 高宣 国立社会保障・人口問題研究所所長
松本 勝明 一橋大学経済研究所教授
曽我 謙悟 神戸大学大学院法学研究科准教授
司会
待鳥 聡史 法学研究科教授
質疑応答
4時25分 閉会のことば
鈴木 基史 法学研究科教授