プログラム
10月25日(土曜日) 講演会 「森が拓く未来」
9時30分~ 受付開始
10時00分~11時00分 「木質バイオマスのモダン活用-天然由来素材からこんなモノを!-」
複合材料化学分野 西尾 嘉之
カーボンニュートラルの生来特性をもつバイオマスのより積極的な利活用を図ることは、環境問題の改善と循環型社会の形成に向けて多大の貢献を果たしえます。本講座では、主として森林が産する木質系バイオマスを対象に、各種製品用途への素材・材料としての高度変換利用とエネルギー並びに工業原料への変換利用について最近の研究例を紹介し将来展望を行います。
11時00分~12時00分 「木造超長期住宅を目標とした自然素材活用型木質構造の提案」
生活圏構造機能分野 小松 幸平
超長期住宅は、200年住宅とも呼ばれています。今年、国土交通省が音頭をとって、「超長期住宅先導的モデル事業」の募集も始まりました。要するに、「質のいい住宅を造って、きちんと手入れして何代にも渡って使い続けましょう」という考え方です。政府は特に木造住宅とは言っていませんが、住宅の半分近くが木造である我が国では、当然木造の超長期住宅というイメージが木材、木造住宅関連分野では先行しています。私も木造住宅の研究者として、200年持つ木造住宅を造るためにはどのようなことが重要だろうかと色々思いを巡らせています。講義では私達のアイデアを紹介していきたいと思います。
13時30分~14時30分 「森の育ち方いろいろ-温暖化がもたらす豊富な木材供給の可能性-」
森林利用学分野 大澤 晃
森は大量の有機物を作り蓄積していますが、蓄積場所は森の種類によって大きく異なります。熱帯林や温帯林は幹をはじめ地上部分におもに有機物を貯めています。一方、亜寒帯林(写真)は根と地下部分がおもな貯蔵場所になっています。この違いと温暖化による森林帯の移動とから、温暖化した世界では今よりはるかに豊富に木材が得られるようになる可能性が浮かび上がってきます。
14時30分~15時30分 「森林利用に伴う流域環境変化と住民の意識」
森林情報学分野 吉岡 崇仁
私たちは森林資源を利用しなくては生活が成り立ちません。ところが、人間が森林を利用するとその影響は流域全体に及びます。森林を伐採したときに起こる森林と流域の環境変化をひとびとはどのように感じとるでしょうか。仮想的に森林を伐採したときの環境変化を示したアンケート調査をしました。その結果を中心に人々の環境に対する意識についてお話しします。
15時30分~16時30分 「DNA解析によって絶滅危惧植物を救う」
森林生物学分野 井鷺 裕司
世界中の様々な生態系が人間の影響を受け、そこに生育している多くの生物が絶滅の危機に瀕しています。多様な生物の住処となっている森林を保全するためにDNA解析がどの様に役に立つか紹介します。
10月26日(日曜日) 見学・実習(10時00分~12時00分)
以下の4つのコースの見学・実習を行います。応募に際しては、いずれか1つの希望のコースを選択してお申し込みください。実施可能な人数の関係で、ご希望にそえないことがあるかもしれませんが、あらかじめご了承ください。
なお、コース1は定員12名、コース4は定員20名です。コース4は、京都府立植物園への入園料(400円、温室を含む)が別途必要となりますが、60歳以上の方で証明書類を持っておられれば、無料となります。
コース1 「顕微鏡で見る木の世界」 (場所:農学部総合館森林科学専攻第一学生実験室S-109他、定員12名)
樹木細胞学分野 吉永 新
木材はいろいろな形をした細胞が集まってできています。顕微鏡を使って木材の細胞を観察します。
- 木をスライスして見る -3断面切片の作製と光学顕微鏡観察-
- 木をバラバラにして見る -解繊試料の光学顕微鏡観察-
- 木の立体構造を見る -走査型電子顕微鏡観察-
コース2 「木造エコ住宅の秘密を探る」 (場所:京都大学生存圏研究所(宇治市))
生活圏構造機能分野 小松 幸平
丈夫で長持ちする木造住宅を造るための木材の選び方、耐震住宅を実現するための条件とは?
- 木造住宅に関する講義
- 木材の強度実験または住宅構造要素の実大実験を体験する
- 木造エコ住宅の説明と見学
コース3 「森の虫たちと樹木」 (場所:大文字山)
森林生物学分野 山崎 理正
大文字山を散策し、キクイムシやタマバエなど普段はあまり目にとまることがない森の虫たちの痕跡を探して、その生態を紹介します。
- 葉を食べる食葉性昆虫について
- 木に穴を開ける穿孔性昆虫について
- 葉にこぶを作る虫えい形成昆虫について
コース4 「熱帯のさまざまな資源植物」(場所:京都府立植物園、入園料400円別途要、定員20名)
熱帯林環境学分野 神崎 護
現在私たちの身の回りは、熱帯の植物を材料とする食品、繊維、染料、香料、そして木材で溢れています。しかし、資源植物の姿形は、案外知られていません。京都府立植物園の温室を利用して、そんな植物たちの素顔を紹介し、現地でどのように生産利用されているのか、資料を使って紹介したいと思います。
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