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  京都大学メールマガジン Vol.4
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   目次:
   ◆ネオ西山文化  尾池和夫
   ◆同窓会
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
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◆ネオ西山文化    尾池和夫

 京都市立芸術大学の主催で、2006年10月6日、「芸術がデザインする平和のかたち」と題する国際シンポジウムが開かれました。作家のリービ英雄さんの基調講演を受けて、京都市立芸術大学長の中西進さん、国際日本文化研究センター長の片倉もとこさん、リービ英雄さん、それに私が壇上に並んで議論しました。
  リービ英雄さんの基調講演での話の中心は、二つの旅のことでした。一つは中国河南省の開封の町で見た1000年前のユダヤ教の井戸の話から、それもたいへん詳しい話から始まりました。もう一つの旅は、9.11の事件のとき、ニューヨークへの途中、バンクーバーで足止めされてテレビ画像を見たときに思ったことをくわしく語られました。話の基調は「越境」がテーマであったかと思います。
  私は、日本での広島の日、長崎の日、東京大空襲の日、阪神大震災の日のことを話し、9.11と同じように、認識を共有して課題としていくことの大切さを話しました。スライドで、須田国太郎画伯の「学徒出陣」の絵を見せました。1943年11月20日、羽田亨総長はグラウンドでの出陣学徒壮行式で、「諸君、行き給え。しこうして帰り給え。大学は門を開いて諸君を待っている」と述べたことを紹介しました。
  また、平和を語る絵としてピカソの「ゲルニカ」のことを話しました。2003年2月5日にパウエル米国国務長官が国連本部で記者会見したとき、「ゲルニカ」を隠して話したことから、その絵がいかに強く平和を表現しているかがわかります。絵は戦争をテーマにして平和を語り、音楽は例えばカザルスが1971年に、ニューヨーク国連本部で演奏した「鳥の歌」のように、平和を描いて平和を語ると話しました。
  このシンポジウムの内容は、10月14日の朝日新聞に、たっぷり1ページを占める記事として紹介されました。大阪本社の朝日新聞ですから、たぶん東京本社の朝日新聞には載らなかったと思います。
  ついでながら、私の以前からの訴えを朝日新聞大阪本社の幹部の方たちが検討して下さって、この記事では私の肩書きを、今までの「学長」から「総長」として下さいました。京都大学は、「国立大学法人京都大学の組織に関する規程」の第2条に、「国立大学法人京都大学(以下「法人」という。)に、学長として総長を置く」と定めていることを尊重して下さったのです。
  中西学長は、このシンポジウムで、ネオ西山文化という考えのことを話されました。いくつもの学術と芸術の中心的組織が連携して、西山から新しい文化が生まれるといいなあという期待があります。
 
  昔、応永4年(1397年)、足利義満が、西園寺公経の山荘の跡に「北山殿」を設営しました。それが「北山文化」の始まりだとすれば、それからちょうど500年経って公経の子孫である西園寺公望の努力で、1897年、京都大学が設置されました。
  その京都大学の桂キャンパスから、今度は「西山文化」を発信しようと私が呼びかける契機となったのは、京都市立芸術大学大学院の中岡真珠美さんが描いた一枚の絵でした。2004年2月9日に、絵を寄付してくださった中岡真珠美さんに、時計台記念館で感謝状をお渡ししました。そして6月24日、中西学長を時計台にお招きして、時計台サロンに飾ったその絵を紹介し、大学間の交流を進めることを提案しました。
  2004年11月28日には、「西山祭典2004」の「たそがれコンサート」が桂の研究成果活用プラザ京都で開催され、交流パーティが桂ラウンジで開かれました。京都大学の人たちも、国際日本文化研究センターの人たちも、京都市立芸術大学の人たちも、また、京都の他の大学の人たちも、また、外国から来た学生たちも、京都の市民も、たくさんの人たちが、この祭典にいろいろの形で参加していました。
  2005年10月29日、京都文化会議の席で、国際日本文化研究センター長の片倉もとこさんに西山文化の話をしたら、たいへん関心を示して下さいました。
「京都ネオ西山文化フォーラム新文化創成シンポジウムと五山送り火鑑賞会」という催しが、2006年8月16日の16時から、京都大学桂キャンパスのローム記念館で行われました。ローム記念館の屋上から大文字の送り火を鑑賞するため、地元の市民の方たちもたくさん参加して下さいました。
  もうすぐ、第2回「京都ネオ西山文化フォーラム」が開催されるよう計画されています。テーマは「竹の魅力、その未来」、主催は「京都Neo西山文化プロジェクト」、場所は京都大学桂ローム記念館3階セミナー室です。2006年11月24日金曜日の午後2時からで、午後5時から、ささやかな交流会を行うそうです。参加費は無料だそうです。
  プログラムには、「里山として見る西山の竹林」(京都大学大学院地球環境学堂助教授の柴田昌三さん)、「素材開発・製品展開としての竹とその可能性」(株式会社アウラ代表の野々村道信さん)などが含まれています。

 西山の地下構造を初めて詳しく見たのは、2000年2月18日、京都市消防局の建物の一階に新しく完成した防災対策室の統制室でした。京都市地下構造調査委員会が開催され、この日、東西方向に京都盆地を切る断面図を、はじめて委員会の席で見ることになったのです。東西断面をしばらくじっと見ていると、いろいろのことが見えてきました。樫原断層は西山の山体が京都盆地に、のし上がるように逆断層運動でできたものと確認できました。樫原断層の東、つまり京都盆地の地下には、水平に近い地層が何枚も見えましたが、大阪とは違って波打っていました。
  このような調査が進んだお陰で、京都盆地の堆積層には豊富に地下水が含まれ、それが京都の時代ごとの文化を支えてきたのだということを、はっきり話すことができるようになりました。

 今、その西山の地に、学術のグループを中心として新しい「西山文化」が生まれようとしています。それは、さまざまの専門分野のグループが、それぞれの考えに基づいて、お互いに呼び掛け合いながら生まれようとしているように、私には見えます。やがて100年、あるいは200年後に、西山文化が語り継がれるようになれば、と私は今、時間があるかぎり足を運んで、それらのグループが企画する催しに参加していきたいと思っています。

(関連リンク)
  写真で見る京都大学 桂キャンパス ローム記念館
  http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/01_photo/katsura_rohm.htm

 第2回 京都ネオ西山文化フォーラム
  http://www.iio.kyoto-u.ac.jp/neo/

 京都ネオ西山文化プロジェクト 過去の活動記録
  http://www.iio.kyoto-u.ac.jp/neo/archives.html

◆同窓会◆

○京都大学同窓会設立総会・ホームカミングデイ(11月3日(金・祝日))
  キャンパス・ツアーほか、松沢 哲郎 霊長類研究所長による記念講演「チンパンジーの親子と文化」があります。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061103_1.htm

○広島京大会総会(11月18日(土))
○京都大学ボート部創部100周年、医学部ボート部創部50周年記念行事(12月9日(土))
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_sotu/dousoukai.htm#osirase

◆おすすめサイト◆

○京都大学環境報告書2006
  http://www.kyoto-u.ac.jp/kankyo/report.html
  他人の痛みを理解できますか。あなたが排出する二酸化炭素に苦しむ人が今も、そして将来もたくさんいます。その人たちの痛みを、あなたは耐えられますか?京都大学環境報告書2006には、京都大学が排出している二酸化炭素の量が示されています。行動のヒントが掲載されています。自分も出している二酸化炭素について知ってみることからはじめませんか。

○17年度決算の概要を公表  財務報告書06年度版
  http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/01_data/kessan_2005.htm
  いままで、あまり知られていない京都大学の財務状況を解説。
  例えば、国民1人当たりの負担額、学生一人当たりの教育経費、教員一人当たりの研究経費などを記載しております。
ぜひ一読いただき、法人化後の京都大学をご理解ください。
 
○耐震性能の低い建物が耐震化されるまでの当面の安全確保について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_notice/ippan/061018_1.htm
京都大学では、建物の耐震補強を中心とした地震防災対策について検討するため、担当理事の下に検討会を設け、調査及び報告を行っています。今回、耐震性能の低い建物が耐震化されるまでの当面の安全確保について報告をまとめました。

◆トピックス◆

○VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)の保菌状況に関する調査研究結果の説明会を開催
  −京都VRE対策を提言−
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610131559112558

○吉田南サークルフェスティバルを開催
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610031018181117

○京都大学愛媛同窓会設立のお知らせ
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610161159490316

○「京都大学女性研究者支援センター」設立
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610041529393475

○京都大学、放射線医学総合研究所と「研究、教育及び医療の協力に関する協定書」を締結
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610021409270817

○「湯川秀樹・朝永振一郎生誕百年記念展−素粒子の世界を拓く−」開会式・内覧会を開催
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610051011171042

○博士学位授与式を挙行
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609261513270062

○新入留学生のための見学旅行を実施
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200610021256173802

◆ニュースリリース◆

○国連合同エイズ計画共同センター開設について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/060929_1.htm

○一酸化窒素による血管の弛緩を調節する仕組みの一端を解明
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/060925_2.htm
  大学院工学研究科の森 泰生教授らは細胞膜に存在し、電荷を持ったイオンの移動を制御するイオンチャネルたんぱく質のひとつ、「TRPC5」に着目。一酸化窒素によりTRPC5が直接酸化されることにより細胞内にカルシウムイオンを取り込むことを見出しました。

○究極的なナノレーザ実現へ向けた一歩を達成
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/061013_1.htm
  大学院工学研究科の野田 進教授、浅野 卓講師、冨士田 誠之助手らの研究チームはJST(科学技術振興機構)と共同で、従来から、究極のレーザとして実現が待たれていた、自然放出を極力発しないナノレーザを実現するための具体的な指針を得ることに成功しました。

◆イベントのお知らせ◆

○クロックタワーコンサート
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061125_1.htm

○企画展 総合博物館平成18年秋季企画展
「湯川秀樹・朝永振一郎生誕百年記念展−素粒子の世界を拓く−」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/061004.htm

○企画展 化学研究所創立80周年記念歴史展示
  「終わりなき知への挑戦」−過去、現在そして未来へ−
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/061003.htm

○京都大学化学研究所創立80周年記念講演会
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061102.htm

○京都大学春秋講義
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061106_1.htm

○第4回 市民講座「宇宙と物質の神秘に迫る〜物理科学最前線〜」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061111.htm

○平成18年度エネルギー科学研究科公開講座
  わたしたちの生活と、生物や光の応用を考える
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061118_2.htm

○玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会(第45回)
  地球惑星科学の華:極域の科学
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061129_1.htm

 >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm

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