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  京都大学メールマガジン Vol.3
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   目次:
   ◆9月のある週末に  尾池和夫
   ◆同窓会
   ◆トピックス
   ◆ニュースリリース
   ◆イベントのお知らせ
   ◆おすすめサイト
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◆9月のある週末に    尾池和夫

  友人や京都大学の教職員の方々から、総長はいったい毎日どのような生活をしているのか、どのように仕事しているのかと、よく聞かれます。
  「それがなかなかたいへんで・・・」と話し始めると、まわりの人もおしゃべりを止めて聞いてくれます。皆さん、この話題に関心があるようです。そこで今回は、9月のある週末の日記から、数日を引用してみることにしました。この週末の特徴は、大臣や元大臣たちに立て続けにお目にかかったという点にあります。

  2006年9月8日(金曜日)
  10時、龍谷大学法科大学院教授の金尚均(キムサンギュン)さんが、京都朝鮮第一初級学校長の高炳棋(コビョンギ)さんたちとともに、京都朝鮮第一初級学校創立60周年記念行事の説明などに来られました。PTAの方や生徒さんたちも一緒に来られて、さまざまの話をしました。総長応接室が執務室の隣にあって、いつもの来客の時は、そこでお目にかかるのですが、この日はお客様の人数が多いので、近くにある役員会議室で話をすることにしました。
  11時すぎ、ある学部の研究室の職員から、学生の学習と研究の権利を守るように、運営の改善を求めるメールが総長宛に来たので、その件をすぐに処理するよう担当の理事に転送しました。
  12時、食事をしながら、新聞記事の切り抜きに目を通しました。また、メールをざっと読んで、受け取りの必要なものには返事を書きました。ちゃんと「返事は不要」と気づかったコメントを付けたものもあるのですが、中には到着の返信をするように求めるものもありました。
  昔は、メールを送ったが着いたか、と電話で確認してくる人がいました。1990年代は、ネットワークの容量を気にして、単に受け取りだけの返事などは送らないようにした時期もありました。最近は受け取ったという確認を送るのが礼儀になってきたようです。
  14時、スウェーデンのイノベーションシステム機構の長官のエリクソンさんが表敬訪問に来られました。今、東京大学に滞在中のステンベリィさんと、カロリンスカ研究所のアンブレットさんが同行しています。今度は総長応接室でお目にかかります。
  大学時代の同級生の友人から、利根川進さんがMITの急用で日本に来られなくなったというメールが来ました。実は、来週月曜日に嵐山で1泊してクラス会をやることになっていて、せっかくの帰国で、利根川さんは京都大学の名誉博士でもあるので、ぜひ会わなければと言って日程を調整したので残念です。しかも火曜日に俳句会をやって、それにも参加すると言っていたのです。利根川さんも欠席投句することになりました。
  防災研究所教授の林泰一さんから、前回のメールマガジンで紹介した潮岬風力実験所と白浜海象観測所のライブカメラが復旧したという知らせが届きました。ウェブサイトで見られます。9月6日の午後8時前には白浜のカメラで落雷をとらえたそうです。8月の下旬に小型のレーダを設置して、潮岬では台風の観測も始めたという報告もありました。
  夜、「ナマズの稚魚はどこで手に入るか」という問い合わせのメールが、環境保全センターから来たので、「やはりその道のベテランである栃木の方に聞くのがいいと思います」と答えました。なぜこの質問が来たのかは不明です。

  ◆潮岬風力実験所と白浜海象観測所のライブカメラ
  http://kagi.coe21.kyoto-u.ac.jp/data/webcam/

  2006年9月9日(土曜日)
  10時前に家を出て、地下鉄に乗りました。11時、宝ヶ池の国際会館に到着しました。地下鉄烏丸線の終点の駅から、雨にぬれずに国際会議場へ着くというのが、中村館長のご自慢です。すなわち、成田の空港からも、関西国際空港からも、雨にぬれずに到着できる国際会議場ということになります。
  11時45分、松田岩夫大臣が到着して握手しました。松田さんは、くわしく言うと、内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全・情報通信技術(IT)担当)です。日本学術会議の黒川清会長も出迎えて挨拶しました。黒川さんは9月10日で任期が終わります。11日に満70歳を迎えられるからです。
  「持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議2006」の「ランチセッション」が始まりました。京都大学からは、松本理事、丸山理事、木谷理事、西村理事たちも出席しました。一橋大学教授の石倉洋子さんがきれいな英語で司会をしました。
  昼食の後、松田大臣が元気いっぱいの大声で15分、演説しました。その直後に私のスピーチです。「元気のいい大臣の後では、スピーチがやりにくいのですが・・(笑)」と始め、予定通り10分で終わったと思います。
  昼食後、京都大学の百周年時計台記念館の国際交流ホールへ移動しました。
  14時から17時、「第3回科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」公開シンポジウムです。「IT社会の未来と人間の生き方」をテーマにした講演と討論が行われ、講演は、ジェフリー・ウエスト米国サンタフェ研究所長の「IT社会がもたらす人間行動」と、ジョージ・H・アトキンソン米国国務長官付科学技術顧問「米国の科学技術と国際戦略」です。
  情報メディアセンター教授の喜多一さんが、アランケイの話を引用してグーテンベルクの聖書を紹介し、情報の共有が、画像、文字、音声、映像などあらゆるものに及ぶという話をしながら、討論会の司会をしました。
  18時、下鴨茶寮へ移動して、私の主催で夕食会を開きました。隣の森は世界遺産の下鴨神社のある糺森であることを説明して、京都の地下水の文化で歓迎すると言って、ホワイトナイルで乾杯しました。元科学技術政策担当大臣の尾身幸次さんも京都駅から駆けつけてきました。
  昼食会でのスピーチの原稿を仕上げて、ウェブサイトに載せるよう広報室へメールで送りました。さっき同じ車で帰った副学長の松重和美さんが、車中で話した福井謙一先生の論文と特許の密接な関係についての調査報告のスライドを、メールで送ってきました。なかなかおもしろい結果です。

  2006年9月10日(日曜日)
  各国の科学者らが集まるSTSフォーラムが12日まで、国立京都国際会館で開催されます。約60の国や国際機関から、科学者、政財界人約600人が参加します。「科学技術の光と影」が今回のテーマです。開会式で、安倍晋三官房長官が首相代理として基調講演をしました。日本経団連の御手洗冨士夫会長が講演しました。
  18時、カクテルパーティーでは、各国の代表と出会いました。また、早稲田大学総長の白井克彦さんとは、エジプトの大学との交流の話をしました。
  19時30分からの晩餐会では、スイスからの出席者たちとテーブルを囲んで楽しく話をしました。松田岩夫大臣は大きな声で開会の挨拶をした。その中で、科学技術基本計画で25兆円を用意すると、大きな声で宣言し、各国の代表が確かにそれを聞いていました。

  2006年9月11日(月曜日)
  10時20分、文部科学大臣の小坂憲次さんが京都大学に来られて、迎賓室で話しました。小学校での英語教育を盛んに論じていました。時計台地下に生協のショップがあるという話をしたら、予定外ではあったが視察されました。時計台ショップで小坂大臣には、シートレンズとストラップを買っていただきました。
  これから出かけるというので、何人もの方たちが報告に来たり、資料を持ってきたりします。休日後の未決の書類ケースには山のように書類が来ています。
  15時30分、嵐山の嵐峡館別館ロビーに集合して、船で本館へ向かいます。大学1年、2年のとき50名ほどのクラスでしたが、その中の20名ほどが集まり、また、多くの友人が夫婦で参加して、にぎやかに学生時代の議論を夜中まで続けました。「デデキントの切断」などという懐かしい言葉が出てきました。メンバーの中には、企業で活躍してきた方も多く、「あ、そのカメラはぼくが開発した」という声が聞こえたりします。京都大学の評議員だった方も、大阪大学の、あるいは九州大学の教授だった方も、私立大学の教授の方も、さまざまの経歴の方たちです。
  今日のメールには、京都大学上海センターの「ニューズレター」と、地球物理学教室教授の竹村恵二さんから、「吉田神社の一番下の階段南側で、花折断層のトレンチ調査を行い・・・結構明瞭な断層が現れました」という貴重な報告がありました。
  毎年、新入生たちと野外を観察しながら歩く会を5月の初めの土曜日に行うのですが、そのときいつもこの吉田神社の石段で記念写真を撮って歩き始めます。その場所で活断層のずれが確認されたというのです。これがまた一つ、京都大学の蓄積する知的財産の一部となる調査結果で、地域社会に貢献することになるのです。


◆同窓会◆

○京都大学愛媛同窓会設立期成講演会のお知らせ
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_sotu/dousoukai.htm#osirase

◆トピックス◆

○原子炉実験所に証明書自動発行機の設置が実現
  原子炉実験所は、理学、医学、工学、エネルギー科学、農学の各研究科の大学院協力講座を担当しており、同実験所において修学し研究指導を受ける学生が、9月現在、41名在籍していますが、これまで、この在籍院生が在学証明書などの各種証明書を必要とした場合、入手のため京都まで行く必要がありました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609051648100529

○霊長類研究所、大学院地球環境学堂における寄附講座等の新設について
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609151443487433

○世界パスタコンクールチャンピオンの料理に舌鼓!
  京都大学吉田キャンパス内のカフェレストラン、カンフォーラ9月の企画パスタメニューの封切りイベントとして、世界パスタコンクールチャンピオン(1995年)に輝いたマルコ・パオロ・モリナーリシェフによる企画パスタメニューの実演・試食会が、カンフォーラにて開催されました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609061857452513

○助成金等採択結果
・文部科学省「X線自由電子レーザー利用推進研究課題」(3件)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609121837355568

・科学技術振興機構
  平成18年度「地域研究開発資源活用促進プログラム」(1件)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609081423526778

  先端計測分析技術・機器開発事業における平成18年度新規採択開発課題(1件)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609071509323059

  戦略的創造研究推進事業(CRESTタイプ)(3件)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200608291104375589

・日本原子力研究開発機構 平成18年度黎明研究テーマ(1件)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/cgi_build/back_number/2006.htm#200609081434047621

◆ニュースリリース◆

○「道を渡る野生チンパンジー:危険への対処法」
  京都大学霊長類研究所 松沢哲郎所長・教授らの研究グループは、西アフリカ・ギニアのボッソウ村の近隣の森に暮らしている野生チンパンジーの暮らしについての長期継続調査のなかで、チンパンジーが道を渡るときには、偵察、先陣、見張り、しんがりの明確な役割分担のあることを明らかにしました。
  道を渡るチンパンジーの動画も見ることができます。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/060905_1.htm

○−世界銀行との共同研究開発− 自然災害リスク軽減のための遠隔学習教材の開発と実装およびインフラストラクチャーのリスク評価と軽減のためのツール開発への着手
  京都大学大学院工学研究科のチャールズ・スコーソン 教授を中心としたグループは、世界銀行と共同で自然災害リスク軽減のための遠隔学習教材を開発し、その中の一つのコースをフィリピン国家災害情報連絡協議会との連携で今秋からフィリピンで開講することになりました。また、インフラストラクチャーの自然災害リスクに対する意識向上とガイダンス、およびその分析を目的とする、世界銀行の内部向けコンピュータベースツールの開発を行うことで合意しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/060904_1.htm

○マウスで発生したラットの精子を用い正常ラット個体の作成に成功
  篠原 隆司 教授(京都大学大学院医学研究科)らの研究チームはマウスを仮親としてラットの子孫の作成に成功しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/060829_1.htm

○ナノサイズの高純度R型二酸化マンガンの合成に世界で初めて成功
  京都大学生存圏研究所の古屋仲 秀樹研究機関研究員らの研究グループは、新規な触媒反応を利用して「水素化した酸化マンガン」を合成し、これを元にしてナノサイズの高純度R型二酸化マンガンの合成に世界で初めて成功しました。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/060828_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○企画展 総合博物館平成18年秋季企画展
「湯川秀樹・朝永振一郎生誕百年記念展−素粒子の世界を拓く−」
  太平洋戦争敗戦後4年目の1949年、日本人は物理学者の湯川秀樹博士がノーベル賞を受賞するというニュースに驚き、よろこびにわきました。湯川博士とともに京都大学で量子力学という新しい物理学を勉強した朝永振一郎博士は戦中戦後の混乱期の中で場の量子論の難問に挑戦して1948年に「くりこみ理論」を発表しました。この業績によって朝永博士も1965年度のノーベル物理学賞を受賞しました。両博士の生誕百年に当たり、物理学の研究と日本の科学の発展につくされた業績をひろく皆さんに知って頂くためにこの展示会を企画しました。両博士の足跡と切り拓かれた世界をご覧ください。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/061004.htm

○企画展 企画展 戦後の学生生活
  2006(平成18)年8月8日(火曜日)〜10月1日(日曜日)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/060808.htm

○企画展 化学研究所創立80周年記念歴史展示
  「終わりなき知への挑戦」−過去、現在そして未来へ−
  2006(平成18)年10月3日(火曜日)〜11月5日(日曜日)
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/buhin/061003.htm

○宇治キャンパス公開2006 社会の持続的発展を目指した先端科学の融合
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061014.htm

○レクチャー・シリーズno.52(ジュニアレクチャー)「マリア十五玄義図」について
  マリア十五玄義図は、大阪府茨木市で見つかりました。キリスト教が禁止されていた江戸時代に、隠れキリシタンが信仰のために大切にしてきたものです。どんな絵で誰が持っていたのか、その背後にはどんな歴史があるのかについてお話しします。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/060930_10.htm

○京都大学 高等教育研究開発推進センター
  第73回 公開研究会 FD(Faculty Development)のダイナミックス
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061007.htm

○歩いて発見!?京都の歴史を探る〜水の路編〜
  今回の旅は「水の路」編。舞台は、大津〜京都間を結ぶ「琵琶湖疏水」です。昔も今も、水と歴史は流れています。その流れにすこ〜し触れてみませんか?さぁ、あなたも大学生と一緒に「水の路」にまつわる歴史を学び、そこから京都の歴史を発見する旅に出かけましょう!
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061008.htm

○京都大学未来フォーラム(第25回)
  「過去から未来へ、京都学派の役割−父坂正顕と兄坂正堯の眼を通して−」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061018_1.htm

○教育学研究科附属臨床教育実践研究センター公開講座
  「国際化と日本人のアイデンティティ−分析心理学の視点から−」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061021.htm

○平成18年度京都大学森林科学公開講座
「森を観るミクロな目・マクロな目」
  http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/2006/061026_2.htm

  >>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
   http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_event/event.htm

◆おすすめサイト◆

○百周年時計台記念館 バーチャル・パノラマビュー
  施設の360度パノラマビューがご覧になれます。
  http://www.kyoto-u.ac.jp/sisetu/11_tokei/vr.htm


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□編集・発行
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