中学・高校の教員免許

京都大学がめざす教師像

京都大学は、研究型総合大学としての特質を活かし、「学問する」教師の育成を目指しています。

学問と教育、理論と実践を統一することはもちろん大事ですが、それらの間にズレがあることも事実です。理論と実践の間を往還しながら、異なる文化の狭間で思考し、それらを実践場面において融合していくことが、即戦力に止まらない真の実践的指導力につながるのだと考えます。

たとえば、カリキュラム・デザインや教材開発の力量形成を通して、長期的な見通しの中で授業を構想する視点を得ることにより、「適応的熟達者」としての教師に成長する。また、実践経験を分析・一般化して、教師自身の言葉と論理(「現場の教育学」)を創ったり再構成したりする力を高めることで、問題把握の枠組み自体をも問い直しつつ、より広い視野に立って問題解決に当たっていく「問題探究的省察」の力を身につける。その基盤として、教科専門と教育学、両方の学問的素養が必要だと考えます。

文章を入れてください
教職の高度化

教育職員免許状の取得について

本学在籍者への教員免許状取得に関する情報については、KULASIS「全学生向け共通掲示板」トップページのInformationの分類選択から「教員免許」を選択のうえ、確認してください。教職科目の履修や教育実習に関する情報が随時更新されるため、見落としのないよう注意してください。

1. 教職課程カリキュラムについて

教育職員免許法および教育職員免許法施行規則の改正により、平成31年度入学者より改正後の新法に基づく教職課程のカリキュラムが適用されます。なお、改正法の施行に伴う経過措置により旧法が適用される場合があります。

2. 教育職員免許状について

大学を除くすべての国公立、私立学校の教員となるためには教育職員免許状が必要です。このうち本学で取得できるのは、高等学校教諭中学校教諭および特別支援学校教諭の免許状です。

本学で取得することができる免許状の種類と教科

高等学校および中学校の教員免許状は教科(国語・社会・地理歴史・公民・理科・数学・英語など)別になっており、教育職員免許法に定められた所要の単位を修得すれば、学部・学科等の専攻分野に対応した教科の免許状が取得できます。
取得希望者は4月に開催する教職課程オリエンテーションに必ず参加してください。また、中学校の教員免許状取得には介護等体験が必要です。

3. 「教科および教職に関する科目」の単位修得について

免許状を取得するには、教育職員免許法に定められた所要の単位を修得する必要があります。単位は、「教科および教科の指導法に関する科目」、「教育の基礎的理解に関する科目」、「道徳、総合的な学習の時間等の指導法および生徒指導、教育相談等に関する科目」、「教育実践に関する科目」、および「大学が独自に設定する科目」に区分され、それぞれ必要な単位を修得しなければなりません。

  • 教員免許状取得に必要な単位については、所属学部の教務掛で配布している「履修カルテ(単位修得状況)」で確認してください。

4. 教育実習および介護等体験について

教育実習は「教育実践に関する科目」として必修で、実習に係る事前および事後指導(いずれも講義)並びに中・高等学校で行う実習(中学校の教員免許状は4週間・高等学校の教員免許状は2週間)からなっています。
また、中学校の教員免許状取得希望者については、平成10年度入学者から、特別支援学校で2日間と社会福祉施設等(保育所を除く)で5日間、合計7日間の介護等体験を行うことが義務づけられています。なお、申請手続きは大学が窓口になり、まとめて行うことになっているので、学生個人では申請できません。

  • 本学在籍者への実施日程、申請方法等の情報はKULASIS「全学向け共通掲示板」に掲載します。

教育実習および介護等体験実施に当たっての共通の注意事項

教育実習および介護等体験への参加には、健康診断証明書が必要なので、当該年度に実施される学生一般定期健康診断を必ず受検しなければなりません。なお、胸部X線検査についても省略せずに受検が必要です。また、事故対策として、「学生教育研究災害傷害保険」(学研災)と「学研災付帯賠償責任保険」(付帯賠責)に加入していない場合は、教育実習や介護等体験に参加できません。

保険に関する問い合わせ窓口

教育推進・学生支援部厚生課厚生掛 Tel: 075-753-2539

5. 教育職員免許状の授与申請について

一括申請

教育職員免許状に必要な単位を修得または修得見込の学生は、教員免許状の取得が見込まれる年度に教育職員免許状の申請手続きをする必要があります。教育職員免許状の発行は京都府教育委員会が行いますが、卒業時に教育職員免許状を受領するための申請手続きは、通常、大学(所属の学部)を通して行います。

これらの手続きを怠った場合は、卒業時に教育職員免許状が授与されなくなるので注意してください。例年10月頃に掲示で周知するので、見落としのないよう注意してください。

個人申請

大学で教育職員免許状の一括申請手続きを行わなかった場合でも、教育職員免許状に必要な単位を修得していれば、卒業後に個人で教育職員免許状を申請すること(個人申請)が可能です。ただし、個人申請を行う場合、免許状が授与される時期が卒業後(数ヵ月後)となる可能性がありますので注意してください。

個人で申請する際は、住民票をおいている都道府県の教育委員会へ各自で問い合わせてください。

6. 教育職員免許状取得までの道筋について

学部学生で1回生から教育職員免許状の取得を目指しているケースの履修例を掲載します。教育職員免許状は、学部の2回生以上から、または大学院学生でも、所定の単位を修得することでその取得を目指すことが可能です。

教育職員免許状取得までの道筋(履修例)

7. 特別支援学校教諭の免許状取得について

平成19年4月から盲学校、聾学校、養護学校が種別を越えた特別支援学校に一本化されたことに伴い、従来の学校種別ごとの教員免許状から特別支援学校の免許状(視覚障害者・聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者・病弱者に関する教育の領域)となりました。

中学校・高等学校の教諭の普通免許状を取得し、教育職員免許法に規定する特別支援教育領域に関する科目の単位を修得すれば、特別支援学校教諭一種免許状を取得することができます。

本学で取得できる免許状は、聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者に関する教育の領域です。

特別支援教育領域(聴覚障害者・知的障害者・肢体不自由者)に関する科目

教職課程ポートフォリオ

本学では、教職課程を履修する学生に、教職課程ポートフォリオ(学生の成果資料を体系的に整理して記録するファイル)の作成と活用を求めています。

本学では、教師として求められる力量を5つの柱(A.教職に求められる教養、B.生徒理解と人間関係構築力、C.教科内容に関する知識・技能、D.教科等の授業づくりの力量、E.課題探究力)で明確化するとともに、それを「履修カルテ」において具体化しています。

学生はこれらの5つの柱を意識しながら、教職課程の学びのプロセスや成果物を教職課程ポートフォリオに蓄積していきます。

そして、教職課程の総まとめとして、教職課程ポートフォリオに基づいた自己評価・相互評価と学生の自主的活動を軸に、教職実践演習を実施し、教員としての資質能力の向上をはかっています。

文章を入れてください
教師に求められる力量の5つの柱

教職課程の体制

本学の教職教育に関する検討、実施、および調査は全学の教職教育委員会等が行っています。

また、教育学研究科が教職課程の実際の運用(教職科目の企画・提供、教育実習・介護等体験などの受付や指導)を担当しています。

必要に応じて、教職に関する責任部局である教育学研究科の教職担当教員が中心となり、教職教育の実施に関し学部・研究科等相互間の連絡調整を行う体制を整えています。

教員の養成に係る教育の質の向上に係る取組

履修カルテや教職課程ポートフォリオは、教員の側のヴィジョンの共有や実践事例の相互交流の土台にもなっています。

また、京都市教育委員会や教職課程を設けている京都地区の国公私立大学(短期大学含む)が加盟する「京都地区大学教職課程協議会」に本学も加盟しており、教職教育委員会の委員が定期総会や小委員会に参加しています。定期総会で教員養成や教職教育のあり方について議論されたことは、参加した委員より教職教育委員会に報告し、本学の教職課程教育に反映しています。

卒業者の教員免許状の取得および教員への就職の状況

教員免許更新制について

平成19年6月の改正教育職員免許法の成立により、平成21年4月1日から教員免許更新制が導入されましたが、令和4年5月の改正教育職員免許法の成立により、令和4年7月1日から教員免許更新制は発展的に解消されました。

令和4年7月1日以降の教員免許状の取扱いについては、文部科学省や各都道府県教育委員会のホームページ等で確認してください。

問い合わせ窓口

  • 所属学部・研究科等の教務担当
    「教科および教職に関する科目」のうち、教科に関する専門的事項を含んだ科目および教育職員免許状の授与申請に関すること
  • 教育学部教職教務掛
    上記以外の「教科および教職に関する科目」および介護等体験を含めた教員免許状全般に関すること
  • 所属研究科等の教務担当
    専修免許状に関すること

関連リンク