研究成果

脳における新しい酸素センシング機構の発見


2020年07月21日


     森泰生 工学研究科教授、中尾章人 同助教、岡田泰昌 村山医療センター臨床研究センター室長(研究当時)らの研究グループは、脳の呼吸中枢のアストロサイトが比較的穏やかな脳内の低酸素環境を感知し、呼吸を亢進することを明らかにしました。

     体内の酸素レベルの感知には、頸動脈に備わる頸動脈小体が中心的役割を果たすことがわかっています。しかし、体内の局所で、特に酸素消費が盛んな脳の局所において、どのように酸素濃度の感知がなされるのかはよくわかっていませんでした。本研究グループは、延髄の呼吸中枢のグリア細胞であるアストロサイトの特定の集団が、低酸素状態におかれるとTRPA1チャネルを細胞表面膜に集積させて酸素センサーとして働き、ATP(アデノシン三リン酸)を放出することで呼吸の深さを調節するというメカニズムを明らかにしました。本研究成果は、大きな社会的問題にもなっている睡眠時無呼吸症候群などの疾患の発症の理解につながると考えられます。

     本研究成果は、2020年7月17日に、国際学術誌「Current Biology」のオンライン版に掲載されました。

    図:本研究の概要図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.cub.2020.06.047

    Makoto Uchiyama, Akito Nakao, Yuki Kurita, Isato Fukushi, Kotaro Takeda, Tomohiro Numata, Ha Nam Tran, Seishiro Sawamura, Maximilian Ebert, Tatsuki Kurokawa, Reiko Sakaguchi, Alexander J. Stokes, Nobuaki Takahashi, Yasumasa Okada, Yasuo Mori (2020). O2-Dependent Protein Internalization Underlies Astrocytic Sensing of Acute Hypoxia by Restricting Multimodal TRPA1 Channel Responses. Current Biology, 30.

    • 京都新聞(7月17日 32面)および日刊工業新聞(7月17日 20面)に掲載されました。

    脳における新しい酸素センシング機構の発見
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