京大の「実は!」Vol.48 「待望のリニューアル編!新しくなった京大農場の実は!」

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 みなさんは、大学にも農場があることをご存知でしょうか?

 農作物を育てるだけでなく、農学・農業に関わる教育や研究の場として、重要な拠点機能を果たしています。

 以前、「実は」!Vol.12でご紹介した京大の附属農場が、移転してリニューアルしたとの情報を聞きつけた広報H。しかもとっても環境にやさしい農場なのだとか・・・。これはぜひ確かめに行かねばなりません!

 一体どんなふうに新しくなったんでしょうか?今回は、最新設備を導入しグレードアップした京大農場の秘密に迫ります!

京大農場についておさらい!

 農学研究科附属農場(以下、京大農場)は、農学部設置とともに吉田キャンパス北部構内に開設されました。その後、高槻農場(大阪府高槻市)を本場として長らく教育・研究の場として機能してきましたが、地下に弥生時代の遺跡があることが判明!このままだと、施設改修などができない・・・ということで、遺跡保護の観点から、今後、農学の教育研究に求められる機能向上に対応していくためにも、移転を決定。2016年4月に、木津農場(京都府木津川市)として新しくオープンしました。

 ★どんなことをしているの?

 

  • 【教育】 学生に農学の基礎を学んでもらうため、栽培技術に関する講義や実習を実施しています。
  • 【研究】 食・環境・エネルギー問題を解決しつつ、高収量・高品質生産を可能にする新技術や新規植物の開発を目指しています。
  • 【支援】 技術職員が、農作物の栽培管理や遺伝資源の保存、農業機械・施設の維持整備などを行い、農場における教育研究を支援しています。
  • 【地域連携】 公開講座やオープンファーム、地域・企業との連携も積極的に行っています。

新・京大農場へ行ってきました!

 京大農場の最寄駅はJR木津駅。そこからバスが出ていますが、お天気が良かったので徒歩で向かうことに。爽やかなウォーキングを楽しみました!

ここからスタート!駅舎の形が面白いですね。

見渡す限り一面田畑。早速農場らしい雰囲気ですが目的地はまだまだ先です。

このまっすぐな道をひたすら歩いていきます。しばし自分と向き合う時間・・・。

京大農場の看板が見えました!

無事に到着!ここからは全貌が見えませんが、3階建ての本館の向こうに広大な圃場が存在しているようです。

案内していただくのは・・・北島宣 農学研究科教授!

 真新しい建物に入るのを躊躇してウロウロしていた広報H、ニコニコ素敵な笑顔の男性に出会いました。この方は何を隠そう、移転前から京大農場に携わり愛を注いできた、農場マスターの北島先生!京大農場についてアレコレ聞いちゃいました。

北島先生:「農作物だけでなく、エネルギーの生産も目指す「グリーンエネルギーファーム」モデルを構築したこと!環境に優しい農業生産を目指し、太陽光発電や、都市ガスを使った「トリジェネレーションシステム」(後で詳しくご紹介)など、再生可能エネルギーを地産地消する工夫をしています。」

北島先生:「さらにグレードアップしましたよ!例えば、水田の地下水位制御システムの導入。稲作時は水をため、畑作時は水を抜いて最適な水位に調整します!また、収穫した農作物については、これまでは人間の目で傷がないか確認したり、重さを量ったりして選別していました。それが光センサー選果機の導入により、糖度などの測定ができるようになったので、高精度な品質保証が可能に!」

北島先生:「実は、移転がちょっぴり残念だったりして・・・」

広報H:「えっ、そうなんですか!?」

北島先生:「前の高槻農場で発見された遺跡は、弥生時代前期、ちょうど稲作が始まった頃のものだったんですよね。氾濫した水田を心配して見に来た人の足跡なんかも残っていました。そんな米作りの地に、また私たちが米を作って、約2500年続いてきた稲作の歴史が終わってしまった・・・。これはちょっと残念ですね(笑)」

ちなみに、北島先生はこんなことを研究しています!

  • 無核(種なし)性カンキツの育成技術の開発
  • カンキツ果実の離脱現象の解明
  • カンキツの起源と種分化に関する研究
  • 果樹類の染色体に関する研究 etc...

クオリティ高い農作物・・・その秘密は、自然エネルギー

 本館の周りには、温室がズラリと並んでいます。ここでたくさんの農作物が大事に大事に育てられ、京大の名を背負って旅立って行きます。
 高品質の農作物を育成するために、数々の工夫がなされている温室を、実際に見せてもらいました!

手前の温室だけ何かが貼られていて、色が違いますね。入ってみましょう!

ひ、広ーい!天井にも貼ってあるあれは一体何なのでしょうか?

正体は、有機薄膜太陽電池(OPV)!光を通し、フィルム状なので軽量かつ柔軟。作物を育てつつ発電もできるのです!この温室で実証実験をしているところ。

トマトを発見!単為結果性といって、受精を行わずに勝手に実が大きくなるため、冬でも暖房の必要ナシ!(本来は受粉受精のために15度くらいにしておかないとダメなのだとか・・・)

以前は土で栽培していましたが、より安定した栽培を行うため、養液を循環させて使っています。

京大農場で開発されたトマト「京てまり」。京都市の新京野菜に認定されています。本当に手まりサイズ!

これはグリーンエネルギーファームの中心となる「トリジェネレーションシステム」電気を供給する「コジェネレーション」に加え、発生する二酸化炭素(CO2まで有効活用する一石三鳥のシステム!

重油ではなく都市ガスを使うため、環境負荷がとても少ないです。排熱を暖房に、CO2を植物の光合成に利用します。

このパイプを通って、一定濃度の炭酸ガスが送られていきます。

炭酸ガスが運ばれていく先は・・・イチゴの温室!

夏場に株を冷蔵しておくことで、通常よりも早い11月に収穫できるそうです。

こちらが完成形。スイーツ店でも使われているイチゴ「さがほのか」。

 施設園芸には、どうしてもコストがかかるもの。これまでは、いかにエネルギーを節約するかが大きな問題となっていました。

 それがトリジェネレーションシステムの導入により、エネルギーを自ら作り出し、積極的に使えるように!今後は学内のさまざまな部署や民間企業と協力しながら、より効率良くエネルギーを配分できる、エネルギーマネジメントシステムの構築も目指していきます。

京大生まれの農作物たち。気になるお味は・・・?

 こんなに手間暇かけて育てられた農作物は一体どんなお味なのでしょうか!?持ち帰り、広報課特命調査隊で検証しました!(ええ、ただの試食隊です)

まずは先ほどのイチゴから。伝わるでしょうか、このみずみずしさ!お皿いっぱいのイチゴがあっという間になくなってしまいました。。

こちらは、まだ世に出ていない農場で開発中のイチゴ!まるでコーティングされているかのようにつやつやの赤色。蜜のように甘く、調査隊一同オドロキの歯がスッと入るやわらかさ!この後どんなイチゴになっていくか楽しみですね。

イチゴに負けず劣らずフルーティーなトマト「京てまり」。ミディなので食べやすく、「酸っぱい」よりも「甘い」という印象。実は結構しっかりしていて、トマトのやわらかい部分が苦手という人も、これなら食べられるかも!以上、現場からお伝えしました。

 次世代の農と食とエネルギーを創るグリーンエネルギーファーム。しかしこの中心には、次世代を担う「人」がいます。育てているのは農作物だけじゃありません!人材育成にも努めている、京大農場の新しい教育プログラムをご紹介します!

京大農場で学ぼう!

 京大農場は、2016年に文部科学省教育関係共同利用拠点に認定されました。京大生、農学を専門とする学生に限らず、全国のあらゆる学部の学生が京大農場で学べるように!

 農・食・エネルギーは、私たちの生活を支え、誰の身にも関わってくる大切な問題です。これらの問題を解決する人材を育てるため、2017年度より、新しい科目「グリーンエネルギーファーム論と実習」が開講します!

「グリーンエネルギーファーム論と実習」(学生対象)

 夏休みに行われる、4泊5日の短期集中型実習。主に午前中に栽培実習、午後に講義とグループワークを行います。農業生産を支える基本の栽培技術と、グリーンエネルギーファームについて学びます。 グループワークでは関連したテーマについて、さまざまな大学、専門分野、学年の学生がファシリテーションによりアイデアを集約。創造力が大いに刺激されます!

 また、実習中の食事は参加学生が自ら調理!農作物がどのように生育し、最終的に食卓に並ぶのか、栽培→収穫→調理という一連の流れを通して実際に知ることができます。

 「農」や「食」に対する理解を深め、それぞれの分野の立場から食料、環境、エネルギー問題について考える視点を養うことを目的とした、今注目のプログラムです!
 (この科目は農学部資源生物科学科で開講しており、京大生は誰でも受講申請できます。)

シラバスや応募方法など、詳しくはコチラ!
http://www.farm.kais.kyoto-u.ac.jp/share02

宿泊を通して、他大学の学生とも交流を深めるチャンス!

2016年度から提供している科目「食卓の栽培学と実習」でのグループワークの様子。

同じく「食卓の栽培学と実習」での調理風景。広い調理室を使い、みんなで協力して食事の準備。

 「学生だけしか参加できないのか、残念・・・。」と思っている方に朗報!このたび、初めて社会人向けプログラムも開講しました。(2017年度履修分の出願受付は2月22日まででしたが、希望される場合はtominaga*kais.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)へお問い合わせください。)

「農業と農学の最前線 -次世代農業マイスター育成プログラム-」(社会人対象)

 2017年度より新たに開講した社会人対象プログラム。原則隔週土曜日開講(全15回)。「世界の作物生産」「作物の品種改良の原理」などの講義と、田植え、タマネギ収穫、バラ栽培などの実習を行います。

詳しくはコチラ!
http://www.farm.kais.kyoto-u.ac.jp/shakajin-rishu

 さらに、一般の方でも気軽に農場を見学できる大チャンスがあります!

「京大農場オープンファーム」(どなたでも参加可能!)

 京大農場は毎年11月3日(祝)に一般公開行事としてオープンファームを開催しており、農場ツアー、農業体験実習、公開ラボ、パネル展示、農産物即売などのイベントや公開講座を行っています。(参考:「実は!」Vol.12

 新しくなった京大農場は、広報Hの予想以上に時代の先を行く大幅なリニューアルを遂げていました。

 最近では、商業施設「ラクエ四条烏丸」の地下1階にあるスイーツ店「アローツリーカラスマ」と農産物の活用に関する提携を結びました。これにより、京大農場産のイチゴやトマトをより多くの方に楽しんでもらえるように!もしかしたら新しいスイーツが誕生するかも・・・?

 今後、京大農場を拠点にエネルギーの地産地消が幅広く浸透し、新たな問題解決につながっていけば・・・と思います。

 取材にご協力いただいた北島先生、技術職員の方々、ありがとうございました!

 次回の「実は!」もお楽しみに!

京大農場について、もっと知りたい方はこちら!

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