坂口志文 名誉教授
ノーベル生理学・医学賞 受賞記念
納得して一歩ずつ前に進む。
向かい風を突き抜けて掴んだ大きな成果
坂口先生とは
25年来の
関係です
案内役 メタ爺
河本 宏
医生物学研究所 教授
数十年、追い求めた制御性T細胞
マウスの胸腺を取り除くと自己免疫疾患を発症する現象と出会う。免疫反応の要のT細胞ができる場所を除去したのに、なぜ?

では、攻撃を抑制する細胞も胸腺にいるのではないか?
手がかりは、T細胞の表面を構成する分子。T細胞の種類ごとに、発現する分子が違うのだ。

まずはCD5分子に注目してみよう!
胸腺を除去したマウスにさまざまなT細胞を移植

CD5分子を強く発現する細胞と自己免疫疾患の発症に関連あり。この細胞に免疫を抑制する機能があると確信
しかし、CD5分子はT細胞の約80%で発現

もっと特異的な分子に絞り込まなければ!
CD25分子の発現がより信頼できる目印であることを発見
この分子が発現する細胞が
「制御性T細胞(Tレグ)」
京都大学再生医科学研究所(現・医生物学研究所)に着任し、さらなる研究を展開。
ノーベル賞学者を2人輩出!
京大再生研の先見の明
河本●坂口先生が再生研に着任した当時、Tレグの存在に世間はまだまだ懐疑的でした。しかし、再生研の教授は「これは本物だ」。世間の潮流とは違う視点を恐れない、京大の校風だからこそ、Tレグ研究は発展したのかもしれません。1998年に胸部疾患研究所と生体医療工学センターが統合され、再生研が発足。次々とすごい教授が着任され、当時の活気には、私も刺激を受けました。
Tレグの遺伝子
Foxp3を発見

Tレグを分子レベルで
同定できるようにした大発見。
多様な実験や検証が可能になり、
論文の引用数が爆発的に増加
ノーベル生理学・医学賞「末梢性免疫寛容に関する発見」
制御性T細胞(Tレグ)の発見がいかに免疫学の重要な発見かというと……
制御性T細胞は、
最大の難問
「自己寛容」の仕組みを
解明する重要なピース
獲得免疫の重要なピース
「自己寛容」
そもそも免疫の仕組みとは……
Tレグが拓く医療の未来
Tレグの働きを強める=免疫反応を抑えれば……
- 自己免疫疾患やアレルギーの治療
- 臓器移植時の拒絶反応を抑制
Tレグの働きを弱めたり、取り除く=免疫を高めれば……
- がん治療への効果が期待
免疫学の大先輩、そしてともに戦う同志
河本 宏
医生物学研究所 教授
坂口先生との出会いは25年前。当時の印象は、なにを尋ねても誠実に教えてくれる先輩。会話の節々から、免疫学の本質を学びました。
私の専門は、制御性T細胞と同じ獲得免疫系のキラーT細胞。坂口先生とは、T細胞を使う治療法の考え方で意気投合し、T細胞療法の開発を目指す「レグセル」の創業メンバーに加わりました。対象疾患の違いなどから分社化した今も、ともに戦う同志として協力を続けています。
坂口先生がよく口にするのは、「街灯の下で鍵を探す」というアラブのたとえ話。暗闇に鍵を落としたのに、「なにも見えないから」と街灯が照らす場所ばかり探す男の話です。これを引用しながら、「明るい場所ばかり見ていてもだめだ。真実は影の中にある」と。学問のトレンドに流されることなく、逆風にも負けずに向き合い続けた先生の姿そのものです。
右のイラストは、そんな話に着想を得て、暗闇の中、自身でランプを灯してTレグを見つける坂口先生の姿を描いたもの。先生と研究をともにされ、自身でも論文を発表されている奥様・教子先生の姿も描きました。
(作画:河本 宏 国際KTCC 2026 HPから転載)



制御性T細胞の存在を
世界で初めて
証明しました