五十嵐淳大学院情報学研究科助教授が平成18年度日本IBM科学賞を受賞

五十嵐淳大学院情報学研究科助教授が平成18年度日本IBM科学賞を受賞
五十嵐助教授の写真

このたび、五十嵐 淳 大学院情報学研究科助教授が「オブジェクト指向言語のための型理論」に関する研究業績で第20回日本IBM科学賞(コンピュータサイエンス分野)を受賞し、平成18年11月21日に千代田放送会館において授賞式が行われました。

情報学研究科の現役教員としての受賞は初めてのことであり、情報学の一分野としてソフトウェア基礎論の研究と人材育成に力を入れてきた同研究科にとっても嬉しいニュースです。


五十嵐 助教授は、オブジェクト指向プログラミング言語に関する理論的研究の基盤として、計算モデル Featherweight Java を提案、その上に Java 言語のジェネリクス機構の型理論を展開し、ジェネリクス機構の型システムの安全性、実装方式の正当性の証明などを与えました。また、五十嵐助教授が提唱、その理論を展開した、変性パラメトリック型というプログラムの再利用性を促進する新しい概念は、現在の Java 言語のワイルドカードという機能として公式に採用され実装されました。今回の受賞は、これらの成果が、学術的研究者のみならずソフトウェアの設計・開発者からも国際的に広く認められるとともに、理論的な奥深さと実用的有用性を兼ね備えた独創的な研究業績として高く評価されたものです。


以下、五十嵐 助教授の略歴を紹介します。

五十嵐助教授は1995年に東京大学理学部情報科学科を卒業、1997年同大学院理学系研究科修士課程情報科学専攻を修了、2000年同大学院理学系研究科博士後期課程情報科学専攻を修了、博士(理学)の学位を取得、同年東京大学大学院総合文化研究科助手となり、2002年京都大学大学院情報学研究科講師、 2006年同助教授に昇任されています。この間、1998年にインディアナ大学客員研究員、同年から2000年にかけて、ペンシルヴァニア大学客員研究員を務めています。