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太陽型星におけるスーパーフレア

2012年5月17日


柴田教授と前原裕之 同天文台教務補佐員

 柴田一成 理学研究科附属天文台教授らの研究グループは、惑星探査衛星ケプラー衛星の観測データを解析することにより、太陽型星でスーパーフレア(最大級の太陽フレアの100倍~1000倍の超巨大フレア)を360例以上発見しました。今回史上初めて、太陽型星におけるスーパーフレアの統計的研究が可能になったことにより、以下のような新たな発見がありました。本研究成果は、科学誌「Nature」に発表されました。

概要

 惑星探査衛星ケプラー衛星の観測データを解析することにより、太陽型星でスーパーフレア(最大級の太陽フレアの100倍~1000倍の超巨大フレア)が365例発見された。これまで、太陽型星のスーパーフレアは9例しか見つかっていなかったので、詳しい統計的研究は不可能であったが、今回、史上初めて、太陽型星におけるスーパーフレアの統計的研究が可能になった。その結果、以下のことがわかった。

  1. スーパーフレアの発生頻度はエネルギーが10倍になるとおよそ10分の1になる。これは太陽フレアの発生頻度の統計とよく似ている。太陽類似星(太陽と似た表面温度と自転周期をもつ星)では、スーパーフレアの発生頻度は平均すると、最大級の太陽フレアの1000倍のスーパーフレアでは5000年に1回、100倍のスーパーフレアでは800年に1回となった。
  2. スーパーフレアの発生頻度は星の自転周期が長いほど小さい。
  3. スーパーフレアのエネルギーの上限は星の自転周期によらない。太陽のように自転周期の長い星でも大きなエネルギーのスーパーフレア(太陽フレアの1000倍のスーパーフレア)が起こる例があった。
  4. スーパーフレアを起こす星は星自身の明るさが0.1%~10%準周期的に変動しているものが多い。これはスーパーフレアを起こす星の表面に、太陽でみられる黒点よりも巨大な黒点が存在することを示唆する。
  5. スーパーフレアを起こす星の周りには、従来スーパーフレアを起こすのに必須な条件だと考えられていたホットジュピター(木星のような巨大惑星で星の近くにある惑星)は稀である。

 最大級の太陽フレアが起こると、地球で様々な被害が起きることが知られており、例えば、1989年の大フレア(1年~数年に1回程度)が起きたとき、地球で大磁気嵐が起き、そのため、カナダのケベック州で600万人が9時間停電に遭遇するという被害があった。また、太陽フレアは人工衛星の故障や通信障害を引き起こすことも知られている。もし、スーパーフレアが太陽で起きれば地球は甚大な被害を受けると予想される。

 これまで、我々の太陽でスーパーフレアは起きないと考えられてきたが、上記の結果から、「起きない」と考えられていた理由の一つである「我々の太陽系にはホットジュピターはない」という理由は成りたたないことが判明した。

 今後我々はケプラー衛星のデータの詳細な解析を続けるとともに、すばる望遠鏡や現在建設を進めている京都大学岡山3.8m新技術光学赤外線望遠鏡を用いて、スーパーフレアがどのような星で起こるのかを調査していく予定である。

図1: (左)太陽型星のスーパーフレアの想像図 (右)京都大学飛騨天文台の太陽磁場活動望遠鏡(SMART)で撮影された2011年9月7日の太陽フレア(Hα+1.2Åの単色像)

 

図2: スーパーフレアを起こした太陽型星の明るさの時間変化。 (a)KIC 9459362の明るさの時間変化 (b)スーパーフレアによる明るさの変化を拡大 (c)KIC 6034120の明るさの時間変化 (d)スーパーフレアによる明るさの変化を拡大

 

図3: スーパーフレアの発生頻度分布。赤は全てのG型主系列星、緑は自転周期が10日以上、表面温度が5600-6000Kの星のみの場合。

 

図4: 星の自転周期とスーパーフレアの発生頻度。自転周期が長い星ほど、スーパーフレアの発生頻度が低い。

 

図5: 星の自転周期とスーパーフレアのエネルギー。自転周期の長い星であっても最大級の太陽フレアの1,000倍以上のエネルギーのフレアが起こる。

書誌情報

[DOI] http://dx.doi.org/10.1038/nature11063

Maehara Hiroyuki, Shibayama Takuya, Notsu Shota, Notsu Yuta, Nagao Takashi, Kusaba Satoshi, Honda Satoshi, Nogami Daisaku, Shibata Kazunari.

Superflares on solar-type stars. Nature. 2012/05/16/online.
(太陽型星のスーパーフレア)

本研究成果の共著者


上段左より柴山拓也 理学部3回生、野津湧太 同3回生、野津翔太 同3回生、長尾崇史 同3回生
下段左より草場哲 同3回生、本田敏志 理学研究科附属天文台研究員、野上大作 同助教

 

  • 朝日新聞(5月17日 28面)、京都新聞(5月17日 1面)、産経新聞(5月17日 3面)、中日新聞(5月17日 25面)、日刊工業新聞(5月17日 21面)、日本経済新聞(5月17日 38面)、毎日新聞(5月17日 28面)および読売新聞(5月17日夕刊 10面)に掲載されました。