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「暗黒ショウジョウバエ」のゲノム解読-暗闇への適応のメカニズム

2012年3月15日


布施研究員

 布施直之 理学研究科グローバルCOE研究員らの研究グループによる研究成果が、3月14日(米国太平洋時間)付けの米科学誌PLoS ONEにて公開されました。

研究の概要

 生物は地球上の様々な環境に適応し進化してきた。チャールズ・ダーウィンは「自然選択」という進化のメカニズムを提唱したが、進化の分子メカニズムは未だ多くの謎が残されている。京都大学には、57年間、1400世代に亘って暗闇で継代飼育されたショウジョウバエがいる。理学研究科生物科学専攻グローバルCOE特別講座(拠点リーダー:阿形清和 理学研究科教授)の布施直之 研究員らは、この「暗黒ショウジョウバエ」(以下、「暗黒バエ」という。)のゲノムを解読し、環境適応の分子メカニズムに迫る研究を行った。なお、この研究は、国立遺伝学研究所、ハーバード大学のグループとの共同研究である。

 暗黒バエは野生型ハエと比べて形態的に大きな変化はない。しかし、繁殖率を測定したところ、暗黒バエは明所より暗所で多くの子孫を残した。暗黒バエは行動や代謝を変化させ、暗所に適応しているのかもしれない。暗黒バエの全ゲノム配列を解読し、約20万の変異を発見した。集団内のゲノムの構成を調べることによって、約5%の変異が暗黒バエの歴史の中で選択されてきたことがわかった。これらの変異には解毒酵素の遺伝子が多く含まれていた。暗黒バエは解毒代謝が変化しているのかもしれない。

 

   

  1. 写真: 暗黒ショウジョウバエ(右)は野生型ハエ(左)と比較して、形態的に大きな変化はないが、ゲノムには多数の変異が残っている。

関連リンク

  • 論文は以下に掲載されております。
    http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0033288
    http://hdl.handle.net/2433/154036 (京都大学学術情報リポジトリ(KURENAI))
  • 以下は論文の書誌情報です。
    Izutsu M, Zhou J, Sugiyama Y, Nishimura O, Aizu T, et al. (2012) Genome Features of “Dark-Fly”, a Drosophila Line Reared Long-Term in a Dark Environment. PLoS ONE 7(3): e33288. doi:10.1371/journal.pone.0033288

 

  • 京都新聞(3月15日夕刊 10面)、産経新聞(3月15日夕刊 10面)、中日新聞(3月15日夕刊 1面)、日本経済新聞(3月15日夕刊 14面)、毎日新聞(3月15日夕刊 14面)および読売新聞(4月16日 14面)に掲載されました。