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最近の太陽活動について

2011年9月16日

 太陽は、2008年から2009年にかけて黒点が100年ぶりに少ない異常極小期でしたが、最近ようやく活動性が復活し、今サイクル(第24黒点周期)になって大きなフレア(太陽面爆発)が出現するようになりました。理学研究科附属天文台飛騨天文台・花山天文台では、太陽フレアのモニター観測を行っており、2011年8月9日、9月7日、9月8日(いずれも日本時間。以下同じ)に発生した大フレアの観測に成功しました。

 このような短期間に大フレアを続けて観測することはまれであり、また異常極小期直後ということもあって長期太陽活動変動との関係からも、これら大フレアの観測データは貴重なものです。一方、太陽フレアに伴って衝撃波や大量のプラズマが宇宙空間に放出されることがたびたびあり、それらが「磁気嵐」となって地球磁気圏に作用してオーロラの原因となったり、地球周辺の人工衛星を故障させたりするなど、私たちの生活にも影響を与えることがあります。そのため、地球周辺のプラズマや磁場の状況を「宇宙天気」として予報することが現代の文明社会を守るためにはとても重要であり、世界的にも宇宙天気研究が進められています。大フレアの研究は、この宇宙天気研究の観点からも重要です。

 2011年8月9日の大フレアでは、フレアに伴う衝撃波と、それに誘発されたフィラメント振動・プロミネンス振動が世界で初めて同時に観測されました。年9月7日の大フレアでも、フレア発生場所から離れたフィラメントが多数(確認できただけで7つ)振動する様子が観測されました。このようなフィラメント振動は噴出の原因となる可能性があり、今後の詳細解析が重要です。また、9月8日の大フレアは、飛騨天文台に名古屋大学太陽地球環境研究所(STE研)との共同研究で設置された新しい光学系での観測に成功しました。この装置では世界最高時間分解能での観測が可能で、太陽フレアの非常に短時間な変動も捉えることができました。

 なお、この観測は石井貴子 理学研究科附属天文台研究員、浅井歩 宇宙総合学研究ユニット特定助教、一本潔 理学研究科附属天文台教授、柴田一成 理学研究科附属天文台長/教授らのグループにより行われました。

参考図

   

  1. 図1:2011年8月9日17時(日本時間。以下同じ)に発生した大フレアの部分画像。太陽円盤の縁が見えている。画面右上の明るい領域がフレア、画面左下の暗い構造がフィラメント、右下の明るい構造がプロミネンス。フレアに伴い衝撃波が発生し、その衝撃波の伝播によりフィラメント・プロミネンスが振動を開始した。(飛騨天文台)

   

  1. 図2:2011年9月7日7時に発生した大フレアの太陽全面画像。画面中央やや右の明るい領域がフレア。周辺にある暗くて細長いフィラメントがフレアに伴い振動する。このフレアでは、黄色の楕円で示した少なくとも7つのフィラメントが振動した。(飛騨天文台)

   

  1. 図3:2011年9月8日7時30分に発生した大フレアの部分画像。太陽黒点(図中央下)の上部に見られる明るい領域がフレア。フレアに伴い右上に向かってフィラメント噴出現象が起きている。(飛騨天文台/名古屋大学STE研)

 

 

  • 京都新聞(9月17日 26面)、産経新聞(9月22日 27面)、中日新聞(9月17日 34面)、毎日新聞(9月29日 24面)、読売新聞(9月26日 16面)に掲載されました。