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理系学部出身者と文系学部出身者の平均年収の比較調査の結果について

2010年8月24日


左から西村教授、
浦坂純子 同志社大学社会学部准教授

 西村和雄 経済研究所特任教授らの研究グループは、理系学部出身者と文系学部出身者の平均年収の比較調査を行い、理科系離れの実態等を検証しました。

問題意識

「文系学部出身者は、理系学部出身者よりも高所得である」という通説がある。
そのため、理系学部離れが拡大している。これは本当か?

先行研究との対応関係

浦坂・西村・平田・八木[2002]「数学学習と大学教育・所得・昇進」日本経済研究46号
⇒数学受験は所得に正の影響を与える(主要3私立大学社会科学系学部出身者のみを対象)

今回の調査目的

  • 国公立、あらゆる入学難易度(偏差値)、理系を含むあらゆる学部出身者も分析対象に加える。
  • 特に入学難易度(偏差値)と出身学部(文系・理系)の違いによって先行研究で得られた結果がどうなるかを検証する。
  • その上で、「問題意識」として挙げた通説を検証する。

   
    図1: 出身学部別平均年収⇒通説と相反する結果

   
    図2: 出身学部別所得プロファイル(男女計)

得られた知見

 数学学習の所得に与える影響が、出身大学の入学難易度によってどのように異なっているのかを、日本の調査データを用いて実証的に分析した。得られた知見のうち、特に以下の2点は非常に示唆的であった。

 第1に、難易度Aの大学出身者ほど、高い人的資本が求められる仕事に就いており、数学学習が効果的に機能していることが示された。

 第2に、理系学部出身者のほうが文系学部出身者よりも高所得であるという結果が得られた。この結果は、「理系離れ」が進む現在において重要なメッセージを投げかけると考えられる。

 

  • 朝日新聞(8月25日 30面)、京都新聞(8月25日 26面)、産経新聞(8月25日 22面)、日刊工業新聞(8月25日 3面)、日本経済新聞(8月25日 33面)、毎日新聞(8月25日 24面)および読売新聞(8月25日 29面)に掲載されました。