ガス分子が情報をON-OFFする -光・磁気メモリー、高感度センサーの革新にむけた新しいスピントロニクス化学の展開-

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用語解説

多孔性金属錯体

有機化合物が金属イオンに配位結合した化合物を、金属錯体という。金属イオンと多様な有機化合物との組み合わせは無数にあり、さまざまな構造を作ることが可能。このうち、多くの微細な孔を持った物質を多孔性金属錯体といい、空孔にさまざまな分子を吸着させることで機能的材料となる。

常磁性

外部磁場がない時には磁化がなく、磁場を印加するとその方向に電子スピンが揃い、弱く磁化する磁性を指す。この場合は、鉄のもつ不対電子がその源である。

反磁性

磁化がなく、磁場を印加すると磁場の向きと逆方向に磁化され、磁場に反発する磁性を指す。この場合は、鉄の電子がすべて対になり、不対電子がないために反磁性となる。

スピンクロスオーバー

遷移金属錯体において、エネルギー的に近接した2つの電子配置の状態が、熱や圧力などの外部刺激により一方から他方へ変化する現象。電子配置の変化により、吸収波長(色)や磁性が変化する。中心金属のd電子数が4個から7個の場合に観測される。不対電子が多くなる電子配置を高スピン配置、少なくなるものを低スピン配置と呼ぶ。この場合は、鉄二価でd電子数が6つなので、高スピン配置では4つの不対電子があり常磁性、低スピン配置では不対電子がない反磁性となる。

スピントロニクス

固体中の電子の有する電荷とスピンの自由度を利用し、新しい材料や物理を研究する分野。主に金属や半導体を用いて、これまでの電荷のみを利用したエレクトロニクスでは実現できない巨大磁気抵抗効果など、次世代メモリーや量子コンピューターへの利用を目指した新しい機能や高性能化の研究が展開されている。