iPS細胞研究成果の社会還元を図るための事業について

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iPS細胞研究成果の社会還元を図るための事業について

京都大学総長 尾池和夫

 

080516_1_1_1.jpg  本学の山中伸弥教授らが2006年に「皮膚細胞から神経や心臓など様々な細胞を作り出すことのできる新しい多能性幹細胞」としてiPS細胞の樹立に成功しましたことは、学術的な意義においてまさに画期的な研究成果であり、昨年11月にはヒトでの成果を発表されました。

この全世界が注目するすばらしい研究をより推進させるために、昨年11月の研究発表以降、関係府省庁、関係する他大学や研究機関、各経済団体等から、研究を加速するための様々な諸支援策を講じてきていただいております。

 iPS細胞の研究は、病気の治療に役立つことが重要であり、患者さんを救うための研究としてその成果が社会に還元されていかなければなりません。このため我々は、この研究成果による治療を心待ちにする多くの人々から期待に沿うよう、一日も早い実用化を目指していかなければなりません。

 iPS細胞研究の成果を実用化していくためには、産業界等からの協力と、産業界への技術移転を促進する必要がありますが、大学における関連する知的財産の管理・活用体制の強化と、知的財産リスクへの対応が極めて大きな課題となっています。

 このため、京都大学は、これらの諸課題に柔軟に対応するための方策のひとつとしまして、株式会社大和証券グループ本社、株式会社三井住友銀行及び、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社の3社からの「iPS細胞研究成果の社会貢献」としてのご厚意を受け、具体的な実施方法等について3社と鋭意検討を重ねてきましたが、このたび、iPS細胞研究に係る発明の円滑かつ適切な管理・活用と、その事業化を通じた研究成果の社会還元・社会貢献を図ることを目的とした事業について合意に至りました。
  この場を借りて、お礼を述べさせて頂きます。

 関係各方面には、本学と関係3社が合意しました「iPS細胞研究成果の社会還元を図るための事業」について、ご理解とご支援をお願いします。