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「双子」の巨大ブラックホール探査の新方法を発見

2008年7月22日


左から嶺重教授、早崎研究員

 早崎公威 基礎物理学研究所 研究員(研究代表)、嶺重慎 理学研究科教授らの研究グループは、数値シミュレーションによって、「双子」の巨大ブラックホールの周囲に三つのガス円盤が形成されることを世界で初めて示し、このシステムから放射される光に、X線や紫外線等は激しく周期変動し、可視光や赤外線はほとんど変動しないことを発見しました。

 このことにより、未だ解明されていない巨大ブラックホールの起源が明らかになることが期待されます。

 この研究成果(概要は別紙のとおり)は、8月発行の米国天文学会誌『Astrophysical Journal』に掲載予定です。

研究成果の概要

 宇宙の成り立ちを紐解くことは、自然科学の究極の目的の一つである。これまで、世界中の天文学者がしのぎを削った結果、宇宙の大規模構造の形成史が解明されつつある。しかし、未だに皆目わからないのが、巨大ブラックホールの起源である。近年、宇宙に存在するほとんどの銀河の中心には、太陽の100万倍〜100億倍の質量を持つ巨大ブラックホールが存在することが確定した。しかも、その巨大ブラックホールの質量は、それを有する母銀河が大きければ大きいほど大きくなることも分かってきた。これは、とりも直さず、巨大ブラックホールと母銀河が、共に進化していることを示唆する。とはいうものの、その直接的証拠は未だない。

 銀河は、小さな塊が合体してできあがった。そこで、銀河が巨大ブラックホールと共に進化しているなら、銀河が合体成長するとともにブラックホール同士も合体して成長するはずである。すると、合体する前の、お互いの周りをくるくるまわっている双子のブラックホールがあるに違いない。それを見つければ、巨大ブラックホールと銀河の共進化を直接証明できることになる。

 今回私たちは、数値シミュレーションによって、双子の巨大ブラックホールの周囲に三つのガス円盤が形成されることを、世界で初めて示した。(下図)。そして、このようなシステムから放射される光に特徴的な挙動、すなわち、X線や紫外線等は激しく周期変動し、可視光や赤外線はほとんど変動しないことが判明した。今後、観測によってこのような特徴的な変動が見つかれば、双子の巨大ブラックホールの証明となる。

 実際に、銀河中心のブラックホールにこのような構造が普遍的に存在することが観測によって示されれば、それは人類の宇宙観を大きく変えることは間違いない。

  • NHKで放送されました。
  • 朝日新聞(7月23日 34面)、京都新聞(7月23日 30面)、産経新聞(7月23日 3面)、日刊工業新聞(7月23日 26面)、毎日新聞(7月23日 2面)および読売新聞(7月28日 23面)に掲載されました。