「一家に1枚 くすりの形」を発行しました。(2015年4月1日)

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文部科学省では、国民の皆様が科学技術に触れる機会を増やし、科学技術に関する知識を適切に捉えて柔軟に活用いただくことを目的として、「一家に1枚」ポスターを毎年発行しています。「一家に1枚 元素周期表」から始まり、今年で10周年です。京都大学と文部科学省は、その10周年の節目に、「一家に1枚 くすりの形」を発行しました。

2015年4月1日より、「文部科学省科学技術週間 一家に1枚」のページ( http://stw.mext.go.jp/series.html )から無料ダウンロードが可能になりました。

一家に1枚 くすりの形

解説

「くすりの形」

国民の多くは「化学構造式」にアレルギーをもっています。このポスターの目的の一つは、薬のカタチを通じて化学構造式に興味をもってもらうことです。

星の位置を単に記憶するのは退屈です。しかし、星座に置き換えてしまうと、なぜか興味が湧いてきますね。このポスターでは、同様の試みを薬の構造式で行います。人類が生み出してきた多くの薬の中から、最近よく使われている比較的新しい薬や、長く使われている一般的な薬をとりあげて、化学構造式とその形を模したイラストを並べました。

この企画の発端はedXです。edXはハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が始めた国際オンライン教育機関です。世界の有名大学が無料で講義を提供しています。そのedX に、京都大学は日本初の講義「The Chemistry of Life(生命の化学)」を提供しています。2014年にはこの講義を世界中の2万人が受講しました。その講義の中で、薬の化学構造式に似たイラストを募集したところ、2780個のデザインが集まりました。その代表例をプロのアーティストが書き直したのが、このポスターのイラストです。

風邪薬に入っているメチルエフェドリンや、皆さんお馴染みのオセルタミビル(商品名:タミフル)もあります。日本で発見された薬も多く、我が国が人類の健康に貢献していることがわかります。分子量(化合物の大きさの目安)の順番に薬を並べてみました。下にある化合物ほど、大きなものになっています。化学構造式の読み方や薬の効き方について簡単な説明も加えました。興味をもった人は、もっと詳しく調べてみましょう。

薬は「魔法」ではなくて「科学」です。科学が薬を生み出します。このポスターを見る子どもたちが科学者になって、難病を治癒する新薬を生み出してくれることを願います。

京都大学教授(化学・薬学) 上杉志成
京都大学教授(芸術学) 土佐尚子
京都大学教授(教育学) 飯吉透

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