平成29年度京都大学森林科学公開講座「感じる樹木」を開催しました。(2017年10月14日)

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生存圏研究所と農学研究科森林科学専攻が共催で、平成29年度京都大学森林科学公開講座を開催しました。当日は小雨がぱらつく天候にも関わらず、42名の参加者が集いました。

今回の公開講座は「感じる樹木」というテーマのもと、杉山淳司 生存圏研究所教授による挨拶・司会進行の後に午前は3つの講演会、午後からはシロアリ、ナノセルロース、大吉山の自然散策という3コースに分かれての見学実習を行いました。

午前最初の講演である伊勢武史 フィールド科学教育研究センター准教授は、「人はなぜ、森で感動するんだろう?」と題し、人の生存と美的感覚における進化生物学的考察、人の心は森によってどう動かされ、そしてそれがどう進化に関係してきたかなどを熱心に説明しました。

2番目の講演である矢野浩之 同教授は、「木の音と楽器の響き」と題し、天然由来の繊維材料ナノセルロースファイバー研究のきっかけにもなった木製楽器の音の研究について、オルゴールのバックミュージックのもと、わかりやすく説明しました。

午前最後の講演である西村裕志 同助教は、「溶かして知る・活かす、木の化学」と題し、漫画も活用したわかりやすい説明で、近年発見されたリグニン分解能力がある海の細菌をはじめとして、身近にある木を溶かす微生物の力、そして木を溶かして木材の中の化学成分を分析する手法や新しい形で木を生かす方法について、説明しました。

昼食休憩後、午後からは「シロアリの感じる木材(柳川綾 生存圏研究所助教)」、「ナノセルロースに触れよう(阿部 賢太郎 同准教授)」、「大吉山の自然と現地のものがたり(杉山教授)」の3コースに分かれて実習や見学を行いました。

参加者からは、来年度以降への期待感も多く寄せられ、大変満足したとの声を聞くことができました。

感じる樹木。人間は樹木によってどう心が動かされるのか。さまざまなテーマの講演会や実習を通して参加者各々が色々な思いをはせる、貴重な一日となりました。

熱心に講演を聴いている参加者

実習風景

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