第1回は1969年秋、大学紛争のさなか、湯川秀樹先生、朝永振一郎先生を講師に招き、開催されました。以後47年、回を重ねること今回で55回に達しました。講演のテーマは必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望をひらくものをと心がけて選ばれています。
本講演会は、専門の研究者だけでなく学生の参加も多く、またもとより公開ですので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しています。
基本情報
- 吉田キャンパス
- 在学生の方
- 一般・地域の方
イベント内容
講演プログラム
「太陽系の固体原材料物質を探る」(15時05分~16時05分)
土山明 京都大学理学研究科教授
太陽系だけでなく宇宙において、元素がどのような割合で存在するか(元素の存在度)は、宇宙の成り立ちと星の進化に伴う元素の合成によって決まっています。地球を始めとする太陽系の固体を作る元素も、このような宇宙における元素の存在度に支配されています。一方、具体的にどのような固体物質が星の周囲で作られ、星間空間でどのような変成を受け、どのような物質が太陽系の固体原材料物質となり、現在見られる固体物質になったかについては、わからないことが多くあります。天文観測だけでなく、太陽系の始原物質である彗星塵や隕石の分析やその室内再現実験を通じて、物質科学的にこれらの理解がどこまでなされているかについてを述べます。また、スターダストやはやぶさ計画など宇宙機によって彗星や小惑星から採取されたサンプルの分析についても触れたいと思います。
「地球中心にはどのような物質があるのか?」(16時10分~17時10分)
土屋卓久 愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター教授
地球は46億年の長きにわたりダイナミックに活動を続ける惑星です。地震や火山、プレートの移動など、地球表層の変動は多くがマントルの運動に起因しており、また地球磁場は外核の金属流体の対流によって維持されています。しかしながら地球深部はいまだ人類未踏の領域であり、今日でも多くの謎が残されています。約360万気圧、6000℃に達する地球中心の極限的な環境では、岩石も大きく圧縮され時として常識をはるかに超えた振る舞いを示します。そのため下部マントルや核がどのような化学組成を有しているのかすら、まだはっきりとはわかっていません。地球深部はどのような物質からできていて、それが地球の形成や運動とどう関わっているのか? 大型放射光施設やスーパーコンピュータなどの先進技術を駆使して、地球深部物質の研究が精力的に行われています。本講演では、世界を先導する我が国の地球深部物質研究について紹介します。
備考
京都大学理学部、財団法人湯川記念財団
京都大学理学研究科 社会交流室
Fax: 075-762-1346
E-mail: mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)