研究成果

ガラスにならない超高温酸化物液体が持つ特異構造を解明 -宇宙・地上での実験と大規模理論計算・先端数学の連携による発見-


2020年06月04日


     小野寺陽平 複合原子力科学研究所助教は、宇宙航空研究開発機構、琉球大学、物質・材料研究機構、ノルウェー科学技術大学、弘前大学、函館工業高等専門学校、東北大学、株式会社エイ・イー・エス、高輝度光科学研究センター、理化学研究所と共同で、「きぼう」の静電浮遊炉「ELF」における液体の微小重力下無容器密度計測、大型放射光施設SPring-8の高エネルギーX線を用いた浮遊法による無容器構造計測、ノルウェーグループのスーパーコンピュータを用いた大規模理論計算を併用し、さらに先端数学(パーシステントホモロジー)を利用しながら、ガラスにならない液体として知られている酸化エルビウム(Er2O3)液体(融点:2413℃)の原子配列と電子状態を世界で初めて解明しました。

     Er2O3液体は、歪んだOEr4クラスターをはじめとする多様な多面体から構成され、極めて原子の充填率が高く、液体であるにもかかわらず高い周期性を持っていることが明らかになりました。これは、液体には、構造周期性がなくランダムであるという従来の定説を大きく覆す発見です。さらに、得られた構造モデルに先端数学を適用したところ、Er2O3液体はEr2O3結晶と位相幾何学的に相似の構造が存在することが明らかになりました。

     本研究で得られた高温液体構造に関する原子・電子レベルでの理解は、高温液体から生成されるガラスやセラミックス材料の開発や、高温液体であるマグマから鉱物が形成される過程、つまり地球の成り立ちの理解への道筋を示す重要な知見となり得ます。

     本研究成果は、2020年6月2日に、国際学術誌「NPG Asia Materials」のオンライン版に掲載されました。

    図:ELF概略図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41427-020-0220-0

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/251174

    Chihiro Koyama, Shuta Tahara, Shinji Kohara, Yohei Onodera, Didrik R. Småbråten, Sverre M. Selbach, Jaakko Akola, Takehiko Ishikawa, Atsunobu Masuno, Akitoshi Mizuno, Junpei T. Okada, Yuki Watanabe, Yui Nakata, Koji Ohara, Haruka Tamaru, Hirohisa Oda, Ippei Obayashi, Yasuyuki Hiraoka & Osami Sakata (2020). Very sharp diffraction peak in nonglass-forming liquid with the formation of distorted tetraclusters. NPG Asia Materials, 12:43.


    ガラスにならない超高温酸化物液体が持つ特異構造を解明 -宇宙・地上での実験と大規模理論計算・先端数学の連携による発見-
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