研究成果

先端メタボロミクスで高齢者のフレイル(虚弱)マーカーを発見 -フレイルの病態理解に貢献-


2020年04月13日


     近藤祥司 医学部附属病院准教授、亀田雅博 同医員、柳田充弘 名誉教授(沖縄科学技術大学院大学教授)、照屋貴之 沖縄科学技術大学院大学博士らの研究グループは、生きている細胞が合成・代謝する小さなメタボライト(低分子代謝物)を、質量分析器により網羅的計測する最先端技術「メタボロミクス」を用いた網羅的ヒト血液代謝物解析によって、高齢者のフレイルマーカー(診断や評価時に有効な目印)を同定しました。

     高齢患者増加の社会背景とともに、「寝たきり予備群」と呼ばれる「フレイル(虚弱)」も増加傾向にあります。フレイルの要因は、筋力低下(サルコペニア)、認知症、心理的・社会的理由など複雑です。また、フレイルはヒト老化の複雑・多様性をも反映するため、多面的側面を含む複合的疾患であり、その病態の代謝基盤の多くは謎のままでした。 

     本研究では、131個のメタボライトの中で、高齢者(平均84歳)のフレイル・非フレイル群を網羅的に比較検討しました。従来とは異なり、認知機能検査を含むフレイル評価により、フレイルのサルコペニア以外の側面にも注目しました。その結果、変化が観察された15個のメタボライトは、抗酸化物質や一部アミノ酸の減少などを含んでいることが分かりました。さらに認知機能や運動能を指標にした解析でも、一部重複あるいは独自のマーカーが見出されました。これらの中には、本研究グループが既に報告した老化で減少するもの(老化マーカー、2016年)や、飢餓マーカー(2019年)も含まれていました。

     本研究成果は、認知機能低下を含むフレイルでの抗酸化物質や老化メタボライトの減少の重要性を示し、今後の臨床応用の可能性を示唆するものです。  

     本研究成果は、2020年4月7日に、国際学術誌「PNAS」のオンライン版に掲載されました。

    図:本研究の概要図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1073/pnas.1920795117

    【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/250390

    Masahiro Kameda, Takayuki Teruya, Mitsuhiro Yanagida, and  Hiroshi Kondoh (2020). Frailty markers comprise blood metabolites involved in antioxidation, cognition, and mobility. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America.

    • 日刊工業新聞(6月4日 19面)および読売新聞(4月22日 24面)に掲載されました。

    先端メタボロミクスで高齢者のフレイル(虚弱)マーカーを発見 -フレイルの病態理解に貢献-
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