研究成果

抗肥満薬が黄色ブドウ球菌の病原因子を阻害するメカニズムを解明


2020年03月31日


     奥野友紀子 医学研究科特定講師、北所健悟 京都工芸繊維大学准教授、神谷重樹 大阪府立大学教授、引間孝明 理化学研究所研究員、山本雅貴 同部門長らの研究グループは、黄色ブドウ球菌が産生する病原因子の1つである「リパーゼ(SAL)」の立体構造をX線構造解析の方法を用いて、世界で初めて解明しました。

     また、抗肥満薬として市販されているヒトリパーゼ阻害剤「オルリスタット」が既存のSAL阻害剤よりも200倍以上SALの活性を阻害することを発見しました。更に、SALとオルリスタットとの複合体の構造を原子レベルで解析することによって、オルリスタットによる阻害のメカニズムを解明することに成功しました。

     本研究成果は、構造情報を元にしたSALに対する薬剤の理論的な開発に役立つと考えられ、より有効性が高く副作用の少ない治療薬の探索・設計が可能になると期待されます。特に、SALが黄色ブドウ球菌の増殖に関与していることから既存の抗菌薬の効かないMRSA感染症や、黄色ブドウ球菌によって引き起こされるアトピー性皮膚炎などの治療薬の発展が期待されます。

     本研究成果は、2020年3月25日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

    図:本研究の概要図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-020-62427-8

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/250110

    Kengo Kitadokoro, Mutsumi Tanaka, Takaaki Hikima, Yukiko Okuno, Masaki Yamamoto & Shigeki Kamitani (2020). Crystal structure of pathogenic Staphylococcus aureus lipase complex with the anti-obesity drug orlistat. Scientific Reports, 10:5469.


    抗肥満薬が黄色ブドウ球菌の病原因子を阻害するメカニズムを解明
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