「柿」の全ゲノムを解読 -植物における「性の進化」のヒント-

ターゲット
公開日

田尾龍太郎 農学研究科 教授は、赤木剛士 岡山大学 准教授、Isabelle M. Henry カリフォルニア大学デービス校 博士、かずさDNA研究所と共同でカキ(柿)の近縁野生種であるマメガキの全ゲノム配列を解読しました。

日本人にはなじみの深いカキですが、 100年以上も謎に包まれていた「植物の性別」を決定する遺伝子がカキ属植物で最初に発見されたことから、カキ属植物は、作物の栽培や育種にとって非常に重要な「植物の性」の研究でも世界的に注目されています。本研究で解読された全ゲノム配列から、カキ属の性決定遺伝子「 OGI 」や「 MeGI 」は、カキ属の進化に特異な「全ゲノム倍化」によって生じたものであり、本来は性に関与していなかった遺伝子が進化の過程で、新しく性決定遺伝子に変化したことが明らかになりました。

本研究成果は、本来は両性花を着花する植物が、どのように性別を手に入れたのかを解明する手掛かりを与えるものです。また、本研究で得られた全ゲノム情報によって、「甘柿と渋柿の違い」といった、私たちにも身近なカキの性質へのゲノム研究からのアプローチも可能になります。

本研究成果は、2020年2月29日に、国際学術誌「PLOS Genetics」に掲載されました。

図:カキノキ科/カキ属特異的なゲノム・遺伝子倍化による性決定遺伝子の成立

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1371/journal.pgen.1008566

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/245870

Takashi Akagi, Kenta Shirasawa, Hideki Nagasaki, Hideki Hirakawa, Ryutaro Tao, Luca Comai, Isabelle M. Henry (2020). The persimmon genome reveals clues to the evolution of a lineage-specific sex determination system in plants. PLOS Genetics, 16(2):e1008566.