ウニの殻に癭を作るエボシガイの生態と進化史を解明

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山守瑠奈 人間・環境学研究科 博士課程学生、加藤真 同教授は、有毒ウニの殻に癭(えい: 寄生者が宿主の組織を異常に発達させて形作る、こぶ状の構造 )を作るエボシガイの仲間、ガンガゼタマエボシ(和名・新称)を採集し、その生態や進化史を明らかにしました。

エボシガイは、ダーウィンが研究に没頭したフジツボの仲間の節足動物で、固着生活をしながら、長い羽状の脚(蔓脚)でプランクトンを漉し取って食べる生活をしています。ガンガゼタマエボシは、有毒ウニの一種である沖縄のガンガゼ上で発見し、記録されて以来30年間、見つかっていませんでした。

今回、本研究グループは、このガンガゼタマエボシをガンガゼの近縁種であるガンガゼモドキ上で再発見しました。その生態を調べた結果、 ガンガゼタマエボシ はウニの殻を肥大化させて癭を作りますが、ウニに寄生するのではなく、萎縮した脚で周囲の粒状有機物を食べる生活をしていることがわかりました。また系統解析の結果、ガンガゼタマエボシはカニに付着するエボシガイ類を起源とすることが明らかになりました。これは、このエボシガイ類がカニからウニへと寄主転換することによって、形態と食性を大きく変化させたことを示しています。

本研究成果は、2020年2月27日、国際学術誌「iScience」のオンライン版に掲載されました。

図:ガンガゼタマエボシの宿主転換の模式図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.isci.2020.100885

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/245878

Luna Yamamori, Makoto Kato (2020). Shift of Feeding Mode in an Epizoic Stalked Barnacle Inducing Gall Formation of Host Sea Urchin. iScience, 23(3):100885.