研究成果

腸内細菌叢が糖尿病の発症に与える影響を解明 -腸内細菌代謝物に着目した新たな治療法の展望-


2020年03月06日


     松田文彦 医学研究科教授、ドミニク・ゴギエ 同客員教授(フランス国⽴保健医学研究所リサーチディレクター)、マーク・ラスロップ 学際融合教育研究推進センター特別招へい教授(マギル大学教授)、佐藤孝明 島津製作所ライフサイエンス研究所長、園村和弘 同研究員らの研究グループは、腸内細菌が生成した代謝物の4-クレゾールが膵臓のインスリン産生ベータ細胞の増殖と機能の刺激を誘導し、1型および2型糖尿病に対する抑止効果を発揮することを発見しました。

     日本では1千万人以上が糖尿病を患っており、有病率は今も上昇し続けています。糖尿病は心臓血管病の発症リスクの増加とも関連しており、大きな社会問題となっています。糖尿病関連遺伝子が持つ変異や環境の影響と腸内細菌叢の組成の違いが発症に影響を与えることが最近の研究で示されており、新たな予防・治療法の開発を通した発症予防や患者の病態の改善は喫緊の課題です。

     本研究成果は、腸内細菌叢を適切にコントロールすることで糖尿病の新たな予防や治療の道を開き、膨大な数の患者の状況を改善できる可能性を示す画期的な研究成果です。

     本研究成果は、2020年2月19日に、国際学術誌「Cell Reports」のオンライン版に掲載されました。

    図:膵臓のランゲルハンス島ベータ細胞(核を青色で染色)でインスリン(赤色で染色)が合成されている様子。(Credit :Inserm/U845/UMRS975/EndoCells SARL)

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.01.066

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/245902

    Francois Brial, Fawaz Alzaid, Kazuhiro Sonomura, Yoichiro Kamatani, Kelly Meneyrol, Aurélie Le Lay, Noémie Péan, Lyamine Hedjazi, Taka-Aki Sato, Nicolas Venteclef, Christophe Magnan, Mark Lathrop, Marc-Emmanuel Dumas, Fumihiko Matsuda, Pierre Zalloua Dominique Gauguier (2020). The Natural Metabolite 4-Cresol Improves Glucose Homeostasis and Enhances β-Cell Function. Cell Reports, 30(7), 2306-2320.e5.

    • 京都新聞(2月27日 29面)、日刊工業新聞(3月3日 23面)、日本経済新聞(3月9日 9面)および読売新聞(2月29日夕刊 8面)に掲載されました。

    腸内細菌叢が糖尿病の発症に与える影響を解明 -腸内細菌代謝物に着目した新たな治療法の展望-
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