新物質の合成条件を効率よく推薦する手法を開発

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林博之 工学研究科 助教、世古敦人 同准教授、田中功 同教授らの研究グループは、1000件規模の並列合成実験データを活用して、新物質を合成するための実験条件を効率的に探索できる推薦システムの開発に成功しました。

近年、計算材料学や人工知能(AI)を活用することで未知の物質を予測する研究が世界的に活発になっています。しかし、予測された新物質を実際に合成するためには合成研究者による勘と経験に基づく多くの試行錯誤の実験が必要です。有望な合成条件の予測にAIを適用するための実験結果のデータベースを構築することがボトルネックとなり、多くの新物質が「絵に描いた餅」状態でした。

本研究で開発した手法により、約24万通りの合成条件から、合成可能な条件を効率的に予測することに成功しました。マテリアルズ・インフォマティクス分野に突破口をもたらすことが期待されます。

本研究成果は、2019年12月14日に、国際科学誌「Chemistry of Materials」のオンライン版に掲載されました。

図:並列合成実験結果から作成した合成条件データベースに基づき、未実験の合成条件から有望な条件を推薦する

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1021/acs.chemmater.9b01799

Hiroyuki Hayashi, Katsuyuki Hayashi, Keita Kouzai, Atsuto Seko, Isao Tanaka (2019). Recommender System of Successful Processing Conditions for New Compounds Based on a Parallel Experimental Dataset. Chemistry of Materials, 31(24), 9984-9992.