研究成果

重力波望遠鏡を利用して暗黒物質の正体に迫る新手法を考案


2019年09月18日


     藤田智弘 理学研究科・日本学術振興会特別研究員、長野晃士 東京大学博士課程学生、道村唯太 同助教、小幡一平 同特任研究員は、レーザー干渉計を用いてアクシオン暗黒物質の探査を行う新しい手法を考案しました。

     宇宙を満たす暗黒物質の候補の一つとして「アクシオン」と呼ばれる粒子が注目されています。アクシオンには、直線偏光を持つ光の偏光面を回転させる性質があります。レーザー干渉計を用いて、レーザー光の偏光回転を精密に測定することで、アクシオンが光に与える影響の度合いを表す「結合定数」を測定できます。

     今回提案された新手法は、強磁場発生装置などの複雑な装置が不要であるため、既に建設されているレーザー干渉計に広く適用することができます。現在、世界で建設されている最も精度の高いレーザー干渉計の一つが重力波望遠鏡です。本手法は、重力波望遠鏡の光検出部に偏光測定用の装置を取り付けるだけでよく、重力波観測を妨げません。重力波望遠鏡に本手法を適用すると、結合定数をこれまでより10倍以上高い精度で測定できるようになり、暗黒物質としてのアクシオンの兆候を発見できる可能性があります。また、発見できない場合にも、これまでの測定の上限値を大きく更新できます。

     本研究成果は、2019年9月14日に、国際学術誌「Physical Review Letters」のオンライン版に掲載されました。

    図:ファブリ・ペロー干渉計を用いたアクシオン探査実験のイメージ図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.123.111301

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/244076

    Koji Nagano, Tomohiro Fujita, Yuta Michimura, and Ippei Obata (2019). Axion Dark Matter Search with Interferometric Gravitational Wave Detectors. Physical Review Letters, 123(11):111301.


    重力波望遠鏡を利用して暗黒物質の正体に迫る新手法を考案
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